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書くことは、自分の心の中のもやっとしたものを縁取りして、明らかにする行為だと思う。

この二年間、ずっと考えてきた。二十五年働いたこの会社を去る選択肢があるのかどうかを。

一年前、三ヶ月近く入院し、休職をした。不自由で、心身ともに疲弊した状態で社会に放たれたとき、自分が職場にいなくても問題無いことを知った。そこから、さらに迷い始め、そもそも「働かない道は無いのか」を模索したけれど、「働いている自分の方がいい」ってことでひとまず落ち着いた。

その後、「どう働いていくか」を考え始めて、私は今どちらに舵を切り始めたかと言うと、「今の会社で好きに生きていく」という道だった。

一年経って、心も体もすっかり回復した。

自分は何によって社会や組織に大きく貢献できるか、自分は何がしたいか、そして、何をしたくないかで、その道を決めた。


今年の春には百人近い新人が入ってくる。どんどん大きくなり、どんどん味気なくなっていくこの会社のことは、少しずつ好きではなくなってきている。

けれど、この会社で好きに生きていくことで異端児扱いされようが、その方が面白そうなイメージが湧く。

この会社を建て直したいとか、経営陣や社員の目を覚まさせたいとか、そんな野望が湧いているわけではないけれど、間違いなくこちらの方がワクワクしそうだ。

四月、新人が入ってきたら、若手からベテランまでが一同に介して、会社や仕事について新人に説明する会がある。最終日の最後の枠、トリで私がプレゼンすることに決まった。

誰か、私のプレゼンで心を動かすことが出来たなら、私の心は、また違う方向に舵を切り出すかもしれない。

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なさじ
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