校長室通信HAPPINESS ~忘れ物の話
★「忘れ物」をしたときって、実は子どもが成長するビッグチャンス!そんな考えを「学校だより」で発信しました。
経験談…忘れ物をしないために工夫しています!
■私にとって出勤時に身につけるべき重要必需品は9個もあります(もともとカバンに入れっぱなし、という物は省きます)。メガネ、携帯電話、マスク、ハンカチ、腕時計、小銭入れ、家の鍵、自転車の鍵、イヤホン…。「なんだ、大したものじゃないな」と思われるかもしれませんが、この9個の中でひとつでも忘れると、その日がとてもブルーな1日になってしまいます。
例えばメガネ。こんなものでも忘れると仕事に支障が出ます。電車の中で本も読めないし、携帯電話の文字もよく見えません。メガネを忘れると1日にできることが半減します。自転車の鍵も重要です。自転車はマンションの地下に止めてあるので、取りに戻ればそれで済むのですが、これで確実に電車に一本乗り遅れます。ハンカチを忘れれば手がカサカサになります。小銭入れには駅の自転車置き場で払う100円玉がたくさん入っているので、忘れるとカバンの中にある札入れから1000円札を出して、おつりをもらって、また財布をしまって…となり、これまた電車に乗り遅れます。携帯電話を忘れたら大変です。スイカやQuick payが使えないので、その日の行動を大きく変更せざるを得ません。
■毎朝、緊張感をもって必需品を身に着けていた私は、ある日「絶対に忘れないアイデア」がひらめきました。次の2つです。
1 帰宅した時、9個の必需品をバラバラに置かず、100均で買ったケースにひとまとめにする。
2 朝、必需品を身につけるとき、①から⑨までの数字を、大声に出しながら順番に身につけていく。
この方法にしてから、忘れ物をすることがめっきり減りました(唯一の問題点は、番号を数えているとき、何番まで数えたかがわからなくなることです。これは間違いなく老化現象です)。
子どもの「忘れ物」、知らんぷりできますか?
■ここで大切なのは、私がなぜこういう「工夫」を思い着いたかということです。それは「忘れ物をして困った経験がある」からです。「忘れ物をしない」という決意の強さは、どこかで忘れ物をして困ったり、恥をかいたり、怒られたり、迷惑をかけたりした経験の有無で決まるのかもしれません。
■子どもたちも忘れ物をします。例えば、習字の道具を忘れてしまった…さあ大変です。1時間みんなが習字をやっている間、ひたすら漢字練習。その上、家で清書をしてきて明日までに提出、という面倒なことにもなります。例えば、宿題に必要な計算ドリルを学校に忘れた…大ピンチです。次の日「計算ドリルを学校に忘れてできませんでした」と先生に正直に言ったとしても、お説教されるのは必須です。ちょっとかわいそうですが、こんな失敗体験を通して子どもたちは何かを学んでいきます。でも、もし親が「子どもに恥をかかせたくない」と、いつも忘れ物を学校に届けていたらどうなるでしょう。子どもは「忘れ物をしても、誰かが何とかしてくれる」と勘違いしたまま大人になったりしないでしょうか。
■もし、大人になるまでに「絶対忘れものをしない」という強い意志が芽生えなければ大変です。大人になってからの「うっかり」は、時には致命的なミスになるからです。お得意様に迷惑をかけたり、上司に恥をかかせたり、同僚から軽蔑されたり…社会的な信用はガタ落ちです。だから「忘れ物をしたときの苦い経験」は、子どものうちに、できるだけたくさん経験しておいたほうがいいのかもしれません。
■もちろん子どもによってはまだまだ手助けが必要な子もいるはずです。そんな子をサポートしながらも、「子どもの時の失敗こそが、人生を踏み外さないための大切な経験になる」と思って、覚悟を決めて「知らんぷり」する決意も、親には必要なのかもしれません(因みに我が家は昔も今も放ったらかし。バイトに行くときSuicaを忘れた娘は、駅員さんに頼み込んでタダ乗りさせてもらったそうです…)。
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