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ポッケからするめいか65

しょうさんが胃がんの手術をしてからかれこれもう20年経ちます。

その間、再発もなく今も比較的健康に過ごしています。


手術で胃の3分の1を切除しているので未だに小食で、ちょこちょこ食べをしたり、
食べすぎて胃がムカムカすることはたまにありましたが、

特に大きな心配はなく過ごしてきました。


と、家族は思っていたけれど、


実は術後から今日まで、

突発的に病院に行くことが多々ありました。

内容は、

頭が痛い、痺れる。

胃がなんかムカムカする。

腰が痛い。


そしてその度に必ず、

精密検査の予約もとってきていました。



けれど家族からすると、
実際しょうさんはそれを必要とするほどの症状はなかったように思っていました。

一時期頭が痛いと言っていて、
CTまで撮りましたが、

全く異常はありませんでした。


きっと肩こりから来ていたのでしょうか。


おそらくあまりにしつこいので、
医者もこいつには証拠を見せるしかねぇと、
精密検査をしてくれていたのかもしれません。


頭の件が解決したのちも、


しょうさんは定期的に病院へ行っていました。


あっ、明日病院だ。


あっ明日検査だ。


と、
一体どこが悪いのか家族は知りませんでした。

というのも何の問題もなく過ごしていたからです。

しょうさんもなぜ病院へ通うのかも話してこないので、

また勝手な思い込みで病院に行って先生を困らせているのだろうと家族は気にもしていませんでした。


というのも、

しょうさんは歯医者へも予約を取らず突然行っていたからです。

治療したところが痛くて、自分で楊枝で突ついてとりました。

と、平気な顔で歯医者に報告したり、

歯磨きをせずに突然行くので、
毎回新しい歯ブラシを渡され次回は必ず磨いてからくるようにと言われていました。

しかし磨かないで行きます。


もらった歯ブラシは引き出しに溜まるばかり。


そんな問題患者だったので、

同じ歯医者に通っていた家族は恥ずかしくてしょうがないので途中で別の歯医者に変えたほどです。



いくら注意しても効かず、
破天荒な受診ばかり繰り返すしょうさんなので家族も大きな病気になっていない限り、
しょうさんの好きにさせていました。


しかし胃がん手術から10年経った頃、
しょうさんが毎月のように病院へ行っていた理由がわかりました。


ある日、
前回より数値が良くなってるんだよ。

そう言ってしょうさんは病院でもらった紙を熟読していたので、

ミキさんが紙をチラッと覗くとそこには、


逆流性食道炎


と書かれていました。


ちょっとお父さん逆流性食道炎なの?いつからよ?だからずっと病院通ってたの?


んだよ(そうだよ)。


お前知らなかったのかよという顔でしょうさんはミキさんを見ました。


もっと早く言ってくれればよかったのに。

そう思ったミキさんでした。

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