阿部詩が負けた。
阿部詩が負けた。
一瞬だった。
勝負の世界は厳しい。加えて柔道の場合は一本取られたらその瞬間に勝負が決まってしまうことを、
詩選手もすっかり忘れていたようなリアクションだった。
どんなに他より強くても、今目の前にいる相手に勝たなければ上にいけない。
技をかけようとして優位に見えたその隙に足を掬われ一本を取られた。
俺もビジネスの世界で足を掬われ負けた。
俺もあのとき足を掬われ、なす術はなかった。
しかし、次のチャレンジはしなかった。
多分、彼女は次のオリンピックに向けてチャレンジするだろう。
俺との違いはそこ。
しかし、俺にもチャレンジすればチャンスがやってくる。
どれだけその気持ちを自分の中に刻むか。
… 問われている。