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【映画感想80】歌え!ロレッタ 愛のために/マイケル・アプテッド(1980)
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カントリー歌手ロレッタ・リンの自伝、「Story of My Life」 の映画。
原題がCoal Miner's Daughterで、なぜ
「炭坑作業員の娘」?と思ったら曲のタイトルでした。
Loretta Lynn - Coal Miner's Daughter
ロレッタがギターを始めたのは15歳で結婚して子どもが生まれた後で、歌手を目指していたわけではなく夫に半無理やり舞台に立たされたのがきっかけ。
ロレッタ役のシシー・スペイセクはスティーブン・キングのキャリーで主人公のキャリーを演じた人で、ロレッタの父親役のリヴォン・ヘルムはザ・バンドの人!!この伝記映画をみたばかりなのでちょっとびっくりしました。レヴォン・ヘルム、この映画がきっかけで俳優としても活躍するようになったそうです。
全編通して1番印象に残ったのがロレッタのタフさでした。悲劇の半生を耐え抜いて……!とかではないんだけど、エピソードの端々に生来の我のつよさが滲み出てる感じ。
「リスナーにウケなかったから」とラジオでレコードをかけることを拒否された時、めざとく自分が送ったレコードが開封されてないのを見つけて「なんで聴いてもいないのにウケなかったって嘘ついたわけ!?」とDJに直接食いついて交渉してしまう。
(さらっと流されたエピソードだけどマネジメントしてる夫じゃなくて若くて社会人経験のない彼女自身が言うのけっこうすごいと思う)
さらには夫の浮気の発覚後カバンでぶん殴るし文句も言う。そして速攻で歌にする。笑
彼女の才能って歌だけじゃなくて我の強さなんじゃないかと思う。
自分のことをあけすけに歌ってしまえる強さと、非難する人に言い返せる強さ。
前回見たバックコーラスの歌姫たちで表舞台に立つ難しさや必要な強さに触れられていましたが、その一端を見た気がしました。
そういえば「批判されて一流」みたいな言葉をサクセスストーリーではよく聞くけど、あれは批判されることそのものに意味はなくて、なんか言われても「エッ……エ…どうしよう…」と動じないことと言い返せる強さを備えているかなのではないかとも思いました。
とりあえず失礼なこと言われたときに固まったり愛想笑いするのをやめよう。
※追記
15歳で結婚!?!?と思って検索したら
2017年にニューヨーク州結婚可能な最低年齢を14歳から18歳に引き上げたニュースが出てきてびっくりしました。当時のアメリカ南部では珍しくなかったそうです。
カントリー・ミュージックで結婚の曲があったら、花嫁があどけない少女である可能性も考えなきゃいけないのか……