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【映画感想45】硫黄島からの手紙/クリント・イーストウッド(2006)


またまたクリント・イーストウッドです。
日米共同制作で2作品公開当時話題になっていたのは覚えていたのですが観ていませんでした。


「父親たちの星条旗」と対をなす形で、こちらは日本軍目線のストーリー。

まず初めに、アメリカ人の映画監督が日本軍目線のストーリーを日本人俳優を起用して撮影するのが結構すごいことだと思う。

日米それぞれの視点の映画を2本撮るというだけでも意味があるけれど、
現地の国の、そして演技ができる俳優をキャスティングしているところは本当にきちんと映画を撮ろうとしているように感じました。最近の漫画原作の邦画は見習って欲しい

というのは前提で、「アメリカ人が撮った映画だなあ」というのは全編を通して感じました。
メインのテーマは戦争で狂った人たちと蹂躙され失われた多くの人生への哀悼だと思うんですが、どうしても「日本軍の精神の異常さ」と「アメリカ在住経験の上官の唯一のマトモさ」が目立ってしまって、どうしてもアメリカファーストというかアメリカが正義!な感じがが滲み出てしまってるような。

戦争を知らない現代の日本人でも理解がむずかしい「お国のために」精神を外国の監督ないしは観客が余計わからないのは必然で、それに疑問を投げかける上官のようなキャラクターは必要だとは思いますが、「アメリカにいた」設定は必要だったのかなと少し疑問に思いました。

悪意があってわざとやってるわけじゃなくて、自然と思想が出てしまってるあたりが根深い。
「だから戦争って起きるんだよね」というのをおそらく無意識に表現できちゃってるのが稀有な映画な気がしました。

フランス映画にメランコリーが必要なように、
アメリカ映画にもアメリカ人のヒーローが必要なのかもしれない。

硫黄島と父親たちの星条旗は同じ監督が違う目線で撮ってるのですが、
日本の監督とアメリカ人の監督で同じ題材で撮影して、撮影談やお互いの国の観客が意見を発信し合うのもこういう無意識の価値観が見えて面白いのかもしれないなあとちょっと思いました。


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