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【映画感想132】ウェンディ&ルーシー/ケリー・ライカート(2008)

前回見たオールドジョイの次に公開されたケリー ・ライカート監督作品。

主人公ウェンディの唯一の財産はボロボロの車と愛犬ルーシーだけ。
旅の途中で万引きで捕まって解放された後、ルーシーの姿は消え車は壊れてしまう。頼れる人もいない知らない町でウェンディは孤独にルーシーを探し続ける…と言うストーリー。

ここだけ聞くとウェンディの町の人々との出会いと心の変化を描くヒューマンドラマのようでもありますが、この映画の特徴は助けてくれる人がほぼいないと言うこと。

ルーシーの表情も固く、映画を観ていて同情はしても共感する人は少なそうなキャラクターです。

「本当に支援が必要な人は助けたい姿をしていない」と言う言葉をどこかで聞いたことがありますが、確かに唯一の拠り所である愛犬も所持金もなく、余裕もない状態ではそうなるだろうなと言うリアリティを感じました。

最後の選択はウェンディのためなのかルーシーのエゴか、で意見が別れそうですが、どちらにせよもうドッグフードを買う余裕すらなさそうだし選択の余地はなかった気がする。両方だろうな。

せめて家人に置き手紙くらいは…と思ったけど、
置き手紙すれば動物の飼育を放棄しても許されるかといえばそうではないし、同じ状況でそんなことを考える余裕があるかと考えるとない。

万引きをした際に「世話をできない人間が犬を飼うな」というど正論を言われるのだけど、
正論で殴っても犬も人間も救われないわけで…

オールド・ジョイと違って観終わった後ぐるぐる考えてしまうお話でした。


おそらく同じ犬が出演してるので、ウェンディ&ルーシーからオールドジョイの順番で観た方が「あのあとルーシーは新しい家族とうまく生活できてるんだ」と思えて傷が浅くなりそうです。


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