5/19雑記 ~言葉と踊れ~
土曜日に働いていると、昼休みを迎えたときなんかに、
「誰かのために働く 土曜日の風が吹いてる」
というフレーズが浮かぶ。
くるりの変な曲、『Liberty&Gravity』の一節だ。
街の風景は平日と大きく変わらないはずなのに、不思議と土曜日には、どこか自由を孕んだ「土曜日の風」が吹いているような気がしてくるのだ。(そこに込められた意味が何なのかはさておき)
これは、「言葉が先にあることで」感じることができた、とも言える。
さて、ここで唐突だが、分割読書の時間だ。
嶋浩一郎,松井剛著『欲望する「ことば」』の第一章を読んだ。
生まれたときには辞書に載っていないのに、社会的に広く知られることで、さも当然のように見聞きするようになった言葉を「社会記号」という。
そして、「女子力」や「加齢臭」といった社会記号によって、潜在的なニーズが浮き彫りになり、新たなマーケットが創造される、といった話が、いくつかの事例を元に展開されていた。
中でも個人的に面白かったのが、「癒し」の話だ。
もともと「病気や傷」「飢えや心の悩み」を主体的に「癒す」ものだったのに、いつしか人が求めるものになって、受け身として「癒される」「癒されたい」というように使われ出したという。
そこからさらに、女性を指して「癒し系」という言葉に見られる「女性が男性を癒す」構図と、「美容」「サロン」「スパ」といった言葉に紐づく「消費が女性を癒す」構図へと別れていき、男女のそれぞれ異なる欲望の対象を浮かび上がらせていったのである。
奇しくも、というか、先日何の気なしに書いた「バブみ」についてのテキストにどこか繋がっているような気がしたのだ。
あれは、男女で異なる欲求が投射された結果であり、となると、それぞれの関心を狙った「バブみマーケティング」が今後展開されるかもしれない。(というか、そこを意図的に狙ったキャラクター造形は既に行われているのでは?)
私たちは今日も、言葉に踊らされている。