まだ名もなきゲーム開発者が戦っていくための武器とは
ゲームを作りたい!
ゲームプランナーになりたい。
ゲームプランナーだが、将来はディレクターになりたい。
そんな人たちに、ひとつ武器を紹介したい。
自分でプログラムを書けて、絵を描くこともできる。
何なら音楽にも精通しているので、作曲してBGMもSEもつけられちゃう。
しかも、実家がお金持ちで、タワマンの一室を持っているので、収入を気にする必要もない。
という、天が三十二物を与え給うた場合は例外です。
そうでない場合は、おカネとヒトを集めなければならないのが、この世界。
そして、集めたヒトに対して、「このゲームはここが面白い」というのを伝えていかねば、モノは生まれない。そこで、大切になってくるのが面白さを言語化して、ヒトに伝え、ヒトを動かしていく力。
この「言語化」こそが天才ではなく、まだ名もなき僕らが再現性を以て、
戦える武器のひとつとして、提案をしたい。
えぇ、めっちゃ地味……
もっとパーッと強くなれる魔法はないの?
しかし、残念ながら現実世界に、はぐれメタルはいないのです。
ということで、ここはコツコツやっていきましょ。
まず、ゲームを作り始める前に、「そのゲームの面白さ」について言語化してみよう。あなたは、どんな時に、ゲームをプレイしていて、面白いと感じただろうか?
ここから先に行く前に、15秒ほどでいいので、最近遊んだゲームのことを思い返してみて欲しい。
なぜだ!
わかった!
やだ!
会話の選択肢って性格出ますよね。
さて、実際に思い出してみただろうか。
自分でもいくつかの例を挙げてみよう。
・大乱闘スマッシュブラザーズで、場外から戻ってきた相手をメテオで落とした時
・メタルギアソリッドで、敵の視線をくぐり抜けながら一度も見つからずに、ノーキル・ノーアラートクリアした時
・ペルソナ5Rで、ボス戦で敵の弱点をつき、行動不能にしたところで、<SHOW TIME>でクリアした時
・シャドウバースで、相手の攻撃を防ぎながら、スペルブーストを繰り返し、<次元の超越>を発動し、ずっと俺のターンできた時
これらの共通点は何だろうか。
「難しい状況下で、自分のプレイを通じて、目的を達成して、感情が動いた瞬間」というのがありそうだ。
なるほど、ということは、ゲームプレイを通じて、感情を動かすというのを言語化できるようになれば、ゲーム作りの一歩として役立つかもしれない。
そこで、役立つ考えが「MDAフレームワーク」というもの。
これは、「めちゃくちゃ・だいじな・あそびのかんがえかた」の頭文字です。嘘です。
正式なものは以下だけれども、特に覚えなくても生きていける。
1. Mechanics(=メカニクス)
ゲームの構造、ルール
2.Dynamics(=ダイナミクス)
その構造やルールのもとで、促されるプレイヤーの行動
3.Aesthetics(=エステティクス)
それによって生じる、プレイヤーの感情
ゲームを作るなら、これの3番目の感情から逆算して作るのが良さげだ。
『メタルギアソリッドV』を例にみてみよう。
Aesthetics
潜入時のスリルを味あわせたい
Dynamics
プレイヤーは敵を倒すことができる。
しかし、銃弾には限りがある。発砲時に銃声が鳴る。
歩くと、足音がして静かに移動しないと気づかれてしまう。
移動は、立ち/しゃがみ/ほふくがある。それぞれ、移動の速さと引き換えに、見つかりやすさが増減する。
Mechanics
敵に見つかると、増援を呼ばれ、一体多数の不利な状況になる。
しかし、これだけでは、一方的にコソコソするだけとなり、高ストレスなゲームになってくるだろう。戦場コソコソマンだ。
ここに、リスクとリターンの概念を取り入れてみる。
遠くから倒す(リスク低)
リスク :倒した敵を他の仲間が見つけて、異変に気づく可能性がある。倒しそびれた場合、仲間を呼ばれる可能性がある
リターン:自分の姿をさらさずに、進める
近づいて倒す(リスク高)
リスク :敵にバレる可能性がさらに高くなる
リターン:後ろから、ホールドアップすると、情報が手に入る(=捕虜の場所や、レアアイテム等)
少しイメージができただろうか。
オススメのやり方は、自分のゲームをいきなり作る前に、自分がこれまでやってきたゲームを、このMDAフレームワークで分解してみるのがオススメ。
遊んできたものは、必ず血や肉となり、そして新しいゲームの礎となっていく。
「面白さ」の共通言語が増えて、ゲーム開発がもっと楽しくなるといいなぁ。それでは、現場からは以上です!