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プロジェクトマネジメントのキホンは、テリーのワンダーランドを通じて学んでいた。

直近のゲーム制作チームでの役割

直近のプロジェクトでは、計画に関わることが多い。
ここでいう計画は、6ヶ月~1年単位くらいの時間軸で社内だけでなく、社外関係者(グラフィック制作、動画制作、シナリオ、監修)といった多くの関係者が関わるもの。そこを買ってもらっているのか、いまのプロジェクトでもでも開発全体のダンドリを組むといったことを担当している。

そして、最初からこれが出来たかというと、怪しい。
というか、むしろ全然出来てなかったように思える。

重なる失敗

失敗その1
一番最初のカードバトル型ソーシャルゲームのプロジェクトもそうだ。
レイドイベントを担当していたが、当日のリリース直前までデータをいじっていた。既に、デバッグが終わっていたというのに(何のためのデバッグ)

そして、成長曲線がヤバすぎるカードが本番リリースされた。
※無料なのに、アホみたいに強い。即日回収案件。

当然、補填案件である。
不具合を出した日は、本来やろうとした仕事まで手が回らず、
さらに遅くまで対応して、コンディションが悪化するという中々のカオスな展開だった。

失敗その2
とあるアクションRPGのプロジェクトでは運用フェーズから、リードプランナーを引き継いで大規模アップデートを担当することになった。
機能は出来たものの、バランス調整まで手が回らなかった。
結果、運営としてやらせたいことはあるが、実態がそうなっていない、というトンデモナイ状態になった。

失敗その3
とあるIPゲームのプロジェクトではこの見積の精度が高くなく、また監修タイミングなども適切ではなかったため、
・そもそも制作が全然間に合わない
・一度作ってもらったものがお蔵入りになってしまう
という、いま思えば目も当てられないような進め方をしていた。

少しずつできるようになってきた

過去のプロジェクトでの経験則を踏まえて、あらかじめ、「いつまでに / 誰が / 何をしていなければならないのか」という計画を立てられるようになってきた。
計画するにはある程度の工程の理解、つまり、達成したいゴールのためにやらなければいけないことのステップと、それに要する時間を知っている必要がある。

本来、3ヶ月かかるものを1ヶ月でやろうとしたら破綻するのは当たり前である。なので、適正な制作期間を確保するために各所から各工程に要する期間をヒアリングして、起点となるボールのキックオフを早くするといったことをやってきた。その結果、現場のプランナーから一度、プロジェクトの外に出て、事業推進というプロジェクト外側から関わる機会もあった。

過去のルーツを探る

過去のプロジェクトで散々なことをやらかしても来たが、仕事で計画を立て、そのとおりに物事が進んでいくことは好きだ。
それが講じて計画面で役に立てる機会も増えてきた。

情報がバラバラの欠片をひとつずつ集めて、大きな絵を描く。
ここ2年くらいは、年単位での計画を週単位や日単位のタスクに落とすというのをやってきた。
これは自分ひとりの力ではなく、多くのひとの力を借りている結果だが、この描いた計画を落とす/遅らせたことがほぼない。

なんで、計画が好きなのか?というのをルーツを探ってみることにする。
いくつかありそうだが、『ドラクエモンスターズ テリーのワンダーランド』の配合表で学んだのだと思う。
テリーのワンダーランドは小学校の2~3年頃に流行っていたゲームボーイソフトだ。
あの頃は、まだゲームボーイポケットを持っていたかどうか怪しい。
おそらく、まだ初期の重たいほうのゲームボーイだったと思う。

もちろん、学校のゲームを持っていくのは禁止されていたから、
一度家に帰って、わざわざ放課後にもう一度、学校にいって集まってやっていた。

しかも、液晶は決して明るくはないから、夕方になったら画面が暗くて見えない。秋冬なら17:00くらいにはもう解散だ。画面が見えないのだから。

テリーのワンダーランドに潜む、WBS

そんなドラクエモンスターズは、小学生の自分に「WBS」=ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャーを教えてくれた。
もちろん、WBSという言葉は当時の自分は知るよしもない。
その言葉を知ったのは社会人1年目の最初のプロジェクトだ。

WBSは何かというと、大きなタスクを小さいタスクに分解していく考え方のこと。
カレーをつくるという考え方に当てはめてみると、ざっくりだが以下のようなタスクに分解される。

・何カレーにするかを決める
・レシピを見る
・材料を購入する
・材料の下準備をする(切る/剥く)
・ルゥを投入する
・材料を煮込む
・お米を研ぐ
・お米を炊く

さて、ドラクエモンスターズには、配合というシステムがある。
配合とは、キャラクターAとキャラクターBを組み合わせて、キャラクターCを生み出していくシステムだ。
たとえば、スライムにキラーマシンをかけあわせると、スライムボーグができる、といったもの。
このゲームで最強のキャラが『ダークドレアム』だ。

ドラクエ6で、デスタムーアをボコボコにしていた衝撃のひと。


これは、適当に集めて配合させるだけではたどり着くことができない。
なので、この配合を何世代にもわたって繰り返して、ようやく辿り着くことができる。

小学生の自分は、『ダークドレアム』つくりたさに、どのキャラをどこで捕まえて、
どうやって作るか?というのをひたすら黄色のメモ用紙に、2Bの鉛筆で書き出していた。おそらく、いまも攻略本に挟まっていると思う。

ここで、いま考えてみれば以下のようなプロジェクトマネジメントの基礎を学んだのだと思う。
・ゴール定義(= ダークドレアムの作成)
・スケジュール管理(= どのキャラを/どんな順番でつくっていくか)
・リソース管理(= どのキャラを/どこで捕まえるか)
・コミュニケーション管理(= 友達と協力して、工程をショートカットできないか)

続編タイトルの、『ドラクエモンスターズ2』では大会に出た。
これは、Vジャンプ経由で応募ができるもので、運良く当選した。
まだスクウェアと統合前で、初台にエニックスがあった頃、1Fのホール的なところでプレイした記憶がある。
いま思えば、ここに大会というマイルストーンができたことで、「いつまでに」という目標がさらに追加された。

結果は、全然勝てなかった。

どれくらい強ければいいのかという、モンスターの品質管理や、相手がこうしたらこうするというリスク管理までは、小学生の頭で想像することは難しかった。

過去と、そしてこれから

こどもの頃の遊びというのは、少なからず今に影響を与えている。
テリーのワンダーランドの開発者チームも、WBSを学んで欲しかったわけではないと思うが、その点がいまの自分に線となってつながっている。

いま作っているゲームは、Free to Playのスマホゲームなので、なかなか小さいこどもが遊ぶというのは難しいかもしれない。が、自分たちがつくっているもの通じて、誰かの日常が少しでもよくなれば良いなと思う。


ヘッダーは、ニンテンドーストアより。


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なるぴー|ゲームディレクター
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