但願人長久~動画ザッピングとあれこれ
こんにちは、セバスチヤンです。今月はフモジェンヌが曲解説をしてくれたので、私はネット上の映像を紹介しながら、少しエッセイ的なものを書いてみたいと思います。
まずは歌バージョン
「但願人長久」はフモジェンヌの解説の通り、テレサテンさんの「淡淡幽情」というアルバムに収録されました。
1983年に香港と台湾で発表されたこの曲は中華圏で大ヒットとなったそうですが、1995年に北京出身、香港で活動する歌手フェイウォンさんによってカバーされ、再び脚光を浴びています。
まずはその2人のバージョンの聞き比べから。
テレサテンバージョン「但願人長久」
https://www.youtube.com/watch?v=RgAXZptB68A
フェイウォンバージョン「但願人長久」
https://www.youtube.com/watch?v=wCREDfUEd3Y
但願人長久は、曲のタイトルにはなっていますが、元々の詩のタイトルではないんですね。元々の詩のタイトルは「水調歌頭」です。
詩が詠まれた当時にも存在した楽器で
この曲を二胡でカバーしている人は日本人奏者も含めて結構多く、ネットには演奏動画がたくさんあがってますね。その中で、セバスチはこのバージョンを選んでみました。
二胡奏者の宋飛さん、鄭建棟さんが率いる民族楽器アンサンブルバージョン(二胡、琵琶、古琴)です。特に古琴に注目です。3000年の歴史を持つと言われる大変古い楽器です。この詩を詠んだ蘇軾の時代は1000年前のことですから、この詩を詠んだ時には既に存在していた楽器ということになります。多くの文人が当時の教養の1つとして古琴を嗜んだということから、もしかしたらこの蘇軾の詩が当時、古琴に合わせて吟じられたこともあるのかな、とセバスチは妄想しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-ZDZ9N9rhvA
中秋に聞きたい西洋楽器バージョン
蘇軾のこの詩の冒頭に、この詩は1076年の中秋に、夜明けまで酒を楽しみながら書いたとあります。中秋の名月を見ながら思いを馳せた詩なのですね。
ネットで上がっている様々な演奏動画は、中秋節を記念してと作られたものも多いです。もうすぐ中秋節(2024年は9月17日)。今年はこの曲を聴きながら中秋の名月を愛でるのもいいですね。
ネットにあがっている中国楽器以外のバージョンの中からセバスチのお気に入りのものを以下セレクトしてみました。楽器それぞれの特徴が活かされていてどれも味わいのある演奏です。あなたのお気に入りはありましたか?
ピアノバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=l6LXySrNqo4
バイオリンバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=rxQrPdLjv1o
サックスバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=1ngpL9TRk0Y
ギターバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=cLkrTpD2_7s
チェロバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=ppSy8Ype9Ms
日本にもあった!古代の詩にメロディを付けた歌
歌を作るときに、先に歌詞ができて、そのあとにメロディをつけるという「詞先」、メロディが先にできてそれに歌詞をつける「曲先」。さらにはこんなタイトルの歌を作りたい、という構想を元に歌詞と曲を作る「タイトル先」と色々な歌作りのアプローチがありますね。
今回の但願人長久は、究極的な詞先(1000年も前に詞が先行!)ですね。
では、同様に昔に書かれた詩に時代を越えてメロディーをつけてできた曲は他にもあるのでしょうか?
実は、日本人なら誰でもが知っているこの歌がそれなんです!
その歌とは・・・
日本の国歌「君が代」です!
詩の原型は10世紀に書かれた古今和歌集の詠み人知らずの詩と言われています。これに明治時代にメロディーがつけられ、現在の国歌となったそうです。
しかも今、正式に国歌として歌い継がれているバージョンは2代目の君が代で、初代君が代が存在するのです。同じ歌詞で別のメロディーが付けられています。外国人音楽家が作曲したものが初代で、歌いづらい、かつ日本の歌らしくないという理由から日本の古来の音階を使用した2代目が作り直されたようです。
初代「君が代」
https://www.youtube.com/watch?v=Tfgo5JJTArA
最後に~それぞれの但願人長久
話がややそれました。
但願人長久も、テレサテンの曲のメロディー以外に、それぞれの二胡奏者がインスパイアされたメロディで演奏してみたら面白いかもしれませんね。
全部歌詞は同じだけど、メロディが違うというものを1枚のアルバムに収めたら面白いのでは、とセバスチは妄想から暴走に入り始めました。
今回はこの辺で。セバスチヤンでした。