【長編小説】(1)生まれてきたからあなたに会えた
なぜ、生まれてきたのだろう。
なぜ、生まれてこなければならなかったのだろう。
いつの間にか生まれさせられていた私は、今日も存在し続けるための義務を背負って生きている。
生きるためには働かなければならない。働くには、誰かと関わりを持たなければならない。他者と関われば傷つくことも苦しいこともある。それらは自分で何とかしなければならない。なぜなら、生きるために必要なことだから。
では、どうして私は生きているのだろう。生まれたいと願った覚えはない。生み出してくれと乞うた過去