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生まれてきたからあなたに会えた

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生誕は災厄の始まりだ。でも、生まれたからこそ、あなたに会えた。
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2023年4月の記事一覧

【長編小説】(7)生まれてきたからあなたに会えた

 養護教諭はとっくに退勤していて保健室は無人だった。自分でできると何度言っても受け入れて…

塵芥なる
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【長編小説】(6)生まれてきたからあなたに会えた

 幽霊やら換気扇の中に蠢く白いウネウネしたもの、教室の隅に溜まってる黒いゴワゴワしたもの…

塵芥なる
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【長編小説】(5)生まれてきたからあなたに会えた

 真人間には太陽光が必要とのことで夏の午後の屋外に引き摺り出された私はきっと古式ゆかしい…

塵芥なる
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【長編小説】(4)生まれてきたからあなたに会えた

 今日が日曜日の授業参観の振替休日だということをすっかり忘れていたのは私の落ち度に違いな…

塵芥なる
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【長編小説】(3)生まれてきたからあなたに会えた

 ギリギリ午前様への変異を免れたと思った帰り道。公共交通機関の全てが眠りについたところを…

塵芥なる
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【長編小説】(2)生まれてきたからあなたに会えた

 大学を出てすぐに就職した会社の理化学研究職は回った目が遠心力でぶっ飛んでしまいそうなほ…

塵芥なる
1年前
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【長編小説】(1)生まれてきたからあなたに会えた

 なぜ、生まれてきたのだろう。  なぜ、生まれてこなければならなかったのだろう。  いつの間にか生まれさせられていた私は、今日も存在し続けるための義務を背負って生きている。  生きるためには働かなければならない。働くには、誰かと関わりを持たなければならない。他者と関われば傷つくことも苦しいこともある。それらは自分で何とかしなければならない。なぜなら、生きるために必要なことだから。  では、どうして私は生きているのだろう。生まれたいと願った覚えはない。生み出してくれと乞うた過去