民事信託と成年後見制度の違い
違いの一つに成年後見人は財産を自由に使うことができないことがあげられます。成年後見人の役割は主に、「身上監護」と「財産管理」となります。
身上監護は生活面や健康面において必要となる法律行為をおこない、
財産管理はその名の通り財産を管理します。
しかし、成年後見人は勝手に財産を活用するような行為はできません。例えば不動産を売却して生活費に充当しようと考えたとしても、その場合は家庭裁判所に判断を仰ぎ、許可されないとおこなうことはできません。そして成年後見人は収支の管理を始め、お金の動きは全て記録して裁判所に報告する義務があるのです。
また裁判所は成年後見人を監視するために「成年後見監督人(赤の他人)」を選出して付けます(成年後見監督人は利害関係のない人を選出します)。
このように財産は家庭裁判所にしっかりと監視されているというわけです。
ちなみに民事信託の場合、財産に係る帳簿を作成する義務は同様にありますが、収支を付けた帳簿を裁判所に提出する義務はありません(ただし、年一回受益者には報告をしなければいけない)。
成年後見制度の場合、途中でやめることは出来ず、成年後見人・成年後見監督人に対して毎月それぞれ2万~6万円の報酬を支払わなければならないことも認識しておく必要があります(払い続けなければいけないということです)。