雪便り
雪便り
鳴沢 湧
五十代からだったか、早くから前立腺肥大のため二回から三回も小用に起きる。
今朝も一時ころ二回目に起きてその後眠れなくなってしまったので、いろいろ考えてしまった。
今、気になっているのは郷里で病んでいる妹のことである。
認知症が大分進んで感情が制御できず、嬉しいにつけ悲しいにつけ声をあげて泣いていると言う事だったが、食べ物も飲み物も喉を通らなくなって四キロくらい離れた所の病院に入院させたと、甥から電話で知らせてきた。
危篤という状態ではなさそうだが、かなり危ない状態だと思われる。
また、五年も前から認知症を疑われる状態だった九歳年少の弟は今は落ち着いて、穏やかに暮らしている。電話で話してもあの頃とは違い朗らかな声だ。
雪は降ったがうっすらと白くなっただけ、積もりはしなかった。と言っていた。
考えているうちに俳句が出来た。
「雪便り病む妹よ弟よ」
ゆきだよりやむいもうとよおとうとよ
もう寝ようと思ったがやはり眠れない。
此処は栃木県でも東南で雪も少ない。男体山は北西に遠く見えるが雪が積もるとにわかに近く見える。名物の空っ風は年を越してからだ。
「空風の行き着く所男体山」
からかぜのゆきつくところなんたいさん
半世紀余り栃木に住み着いている私にはこんな感じなのだがちょっと遠いので、
「空っ風行き着く先や男体山」
からっかぜゆきつくさきやなんたいさん
今はまだこんな感じである。
2021年12月22日
(冬至の日早朝)
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