#25 否定的な言葉を使う方への関わり方
個人と組織の能力を最大化する伴走者
ナラティブサポートの上村です。
前回に続き、否定的なコメントばかりする方への対応について今回も考えたいと思います。前回は「そもそも論で立ち返る」というお話をさせていただきました。
https://note.com/narrativesupport/n/neebaf300628a
今回は、「Iメッセージ」で話すという方法についてお伝えします。
まず行動の四角形という考えについて紹介します。
行動の四角形
これはゴードン・メソッドという、米国の臨床心理学者トマス・ゴードン博士によって始められたコミュニケーショントレーニングプログラムで紹介されている行動とその影響を理解し、効果的な対応策を見つけるためツールです。
このツールは、問題が誰に影響を与えているかを特定することで、適切な対応方法を選ぶ手助けをします。行動の四角形は、次の四つの領域に分かれています。
自分の問題の領域
この領域では、相手の行動が自分にとって問題となっている場合です。たとえば、相手の行動が自分の仕事の妨げになっている場合です。具体的なシチュエーションで言うと「部下が時間にルーズで注意をしても中々直らず、組織にも悪い影響を及ぼしている」「友人の態度が急に変わってしまい、原因が分からず不安になっている」といったようなシチュエーションです。この場合、自分の感情やニーズを相手に伝えるために「Iメッセージ」を使用します。こちらを後ほど説明します。
相手の問題の領域
ここでは相手が何かに悩んでいる場合です。相手の問題が自分に直接影響を与えていないが、相手が助けを必要としている場合です。例えば「部下が親の介護等で心身ともに疲れて仕事に集中できない」「友人が会社での人間関係に困っていて悩みを打ち分けてくれた」といったような場合です。聞いているあなた自身には直接影響はないような問題です。この場合、相手の問題を取り上げずに積極的な聞き方を用いて相手の気持ちや問題を理解し、その上で未来に向けた質問をすることでサポートします。今回はこちらについての詳細は触れません。
問題なしの領域
この領域では、特に問題が存在しない状態です。お互いに影響を与えない、または現状に満足している場合です。この場合は特に対応が必要ないことが多いです。
まずは「問題が発生した時にどちらの問題か?」と切り分けて考えないと適切な対応が出来ません。
Iメッセージ
Iメッセージは「わたし(I)メッセージ」という事ですが、次の3つの構成になります。
感情の表現(一次感情:例としては怒りの前にある不安や悲しさ等): 「私は~と感じる」
具体的な行動の記述(非難がましくない表現で): 「あなたが~すると」
その行動の影響の説明(両者にとって-な表現だとベター): 「だから~になる」
具体的な例としては次のような形です。
「私は、あなたが会議に遅れてくると、計画が進まないので困ります。」
「私は、部屋が散らかっていると、リラックスできなくてストレスを感じます。」
具体的な声のかけ方
先日とある研修でリーダーの方が自部署で実践されている話が非常に効果的な方法で素晴らしいと思いました。その事例をお伝えします。
例えばとある組織の課題であり、自身にとっても課題があり、その事に対して会議の場でリーダーがこのようにメンバーに伝えたとしましょう。「〇〇の問題に対して非常に悩んでいます。どうしたらいいか困っています。皆さん助けてくれませんか?」と率直に思いをIメッセージで伝えます。そうするとたいていのメンバーは協力してくれたと話してくれました。
ただそんな中でも何かと否定してくるメンバーがいました。そういった方には「悩ませるような事を伝えてしまって申し訳ない。でもどうしてそのように思われたかを聞かせてもらえませんか?」と相手の世界観を尊重して問いかけてみるという事をしたと仰っていました。すると少しずつではありますが、建設的な意見を言ってくれるようになったようです。
ついつい、自分の本当の感情、相手の本当の感情を理解せずに自分の中の思い込みで発言をしてしまう事があると思います。そんな時こそIメッセージの3つの構成を意識してコミュニケーションしてみてください。
コミュニケーションについてのサポート、研修などもしております。お気軽にお声がけください。
https://www.narrativesupport.jp/
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