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人間関係を円滑にするためのコミュニケーション手法らしい
ファティック(Phatic)とは?
ファティック(Phatic)とは、情報伝達のためではなく、人間関係を円滑にするためのコミュニケーションを指します。
日本語では「社交辞令的な会話」「挨拶的な会話」「交感的」コミュニケーションと説明されることが多いです。
この概念は、言語学者のブロニスワフ・マリノフスキ(Bronisław Malinowski)によって提唱されました。
彼は、言葉が必ずしも意味のある情報を伝達するために使われるわけではなく、人と人との関係を築くためにも使われることを指摘しました。
ファティック・コミュニケーションの特徴
1. 情報伝達が目的ではない
「今日はいい天気ですね」「お元気ですか?」など、内容そのものに重要な情報が含まれているわけではありませんが、会話の流れを作るために用いられます。
2. 人間関係を築くための手段
「ちょっと寒くなってきましたね」「お疲れ様です」「最近どう?」といった会話は、相手との関係を保つために使われます。
また仕事の場面でも、ファティックな会話を挟むことで、本題に入りやすくなります。
3. 沈黙を避ける
日本では「気まずい沈黙」を避けるために、天気の話や最近の出来事について話すことが多いのですが、飲み会の場や、ビジネスの場で「場を和ませる」役割を果たします。
ファティック・コミュニケーションの例
以下の例を見ると、我々は無意識のうちに自然にファティックコミュニケーションをしていると分かります。
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ファティック・コミュニケーションの意義
ファティック・コミュニケーションには、以下のような意義があるとされています。
1. 信頼関係の構築
日常的な軽い会話を積み重ねることで、相手との距離が縮まり、信頼関係を築くことができます。
2. 本題へのスムーズな移行
いきなりビジネスの話をするのではなく、まずは「最近どうですか?」など、場を和ませるようなファティックな会話を挟むことで、スムーズに本題に入っていけます。
3. 人間関係の維持
たとえば、久しぶりに会った人に「最近どう?」と話しかけることで、関係を維持しやすくなります。
4. ビジネスや交渉での効果
商談の前に「最近忙しいですか?」などの会話を交わすことで、相手との心理的な距離が縮まり、交渉がスムーズに進むことがあります。
日本と海外の違い
日本文化では、ファティック・コミュニケーションが特に重要な役割を果たしています。
「和」を重んじる日本社会では、特に「空気を読む」文化がベースにあることから、相手との調和を保ち、良好な人間関係を維持するためのコミュニケーション手段として、実は無意識のうちに、頻繁に使用されてます。
一方、英語圏では「How are you?(元気?)」などがファティックな表現としてよく使われますが、あまり深い意味はなく、あいさつの一環として使われます。
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ファティック・コミュニケーションと「質問力」
質問力を活かす場面では、ファティック・コミュニケーションを上手に使うことで、相手との距離を縮め、本音を引き出しやすくなります。
質問とファティックの組み合わせ例
「最近どうですか?」(関係を作る)
「最近仕事で大変だったことありますか?」(少し深い話へ)
「それって、どんな風に対処しました?」(本音を引き出す)
このように、ファティックな会話を起点にして、徐々に核心に迫る質問をすることで、相手が話しやすい環境を作ることができます。
まとめ
ファティックとは、情報伝達ではなく、人間関係を築くための会話のこと。
「天気の話」「挨拶」「共感を示す言葉」などが代表例。
信頼関係を築き、ビジネスや日常生活でのコミュニケーションを円滑にする効果がある。
質問力とも相性がよく、ファティックな会話を起点に本音を引き出すことができる。
ファティック・コミュニケーションを上手に活用すると、日常会話がスムーズになり、質問力を活かした対話にも必ず役立ちます!
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