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本質に迫る質問は“問いの種類を意識する”
おはようございます。
書きたい、皆さんにお伝えしたい想いが強すぎるのか、
最近、note長文化傾向にあります。。。
ビジネスや日常で「なぜ?」と問うことは、問題の原因を探るためにあたりまえに、無意識に行っています。しかし、「なぜ」だけでは表面的な答えしか得られないこともあります。本質に迫るためには、問い方を広げ、深めることが必要です。
「なぜ」という問いは「原因」を探る役割を果たしますが、時にはその問いだけで堂々巡りになることがあります。
本質に迫るには、原因を探るだけでなく「どうすれば」「どのように」といった解決志向や、「何が最も重要か」といった優先順位を見極める視点を持つことが大切です。
問いの種類を意識することで、新しい視点や深い理解が得られます。
“なぜ”だけでは足りない理由
「なぜ?」という問いが役立たないわけではありません。
ただし、次のようなケースでは限界があります。
1. 問題を解決するための行動に結びつきにくい
「なぜ?」という問いは、原因を特定するために非常に有効ですが、それだけでは解決策や次の行動を導き出すことができません。
「原因が分かったところで、具体的に何をすればよいのか」という次のステップに進むには、「どうすれば?」や「何が必要?」といった行動志向の問いが必要です。
例えば、「なぜ売上が下がったのか?」と問い続けるだけでは、「次にどのような施策を取るべきか」という具体的な解が見えてきません。
2. 複雑な問題には“なぜ”だけではアプローチできない
多くの課題は単純な原因に帰着しないことが多く、複雑な要因が絡み合っています。その場合、「なぜ?」を繰り返しても、複雑性の中で堂々巡りになるリスクがあります。
たとえば、「なぜプロジェクトが失敗したのか?」と原因を探り始めても、「スケジュール管理が甘かった」「リソース不足だった」「コミュニケーションが不足していた」と複数の答えが浮かび上がり、それらをどう整理して解決に結びつけるかという視点が欠けてしまいます。
3. 感情や価値観が絡む問題では適切でない場合がある
人間の感情や主観的な価値観が絡む問題に対して「なぜ?」と問うと、相手が防御的になったり、質問自体を負担に感じることがあります。
たとえば、「なぜそんな判断をしたのか?」という問いかけは、相手に「責められている」と感じさせる可能性があります。
その結果、相手が本音を隠してしまい、問題の核心に触れられなくなることもあります。
4. 過去の追及だけに偏ってしまう
「なぜ?」という問いは過去に焦点を当てるものです。そのため、未来志向の対話にはつながりにくい傾向があります。
たとえば、「なぜプロジェクトの進捗が遅れたのか?」という問いは遅延の理由を知るために必要ですが、それだけでは「どうすれば次のプロジェクトを成功させられるか」という未来の行動を議論するきっかけを作りにくいのです。
5. 根本原因に至る前に止まる可能性がある
「なぜ?」を繰り返すことで原因を深掘りする「5回のなぜ(Five Whys)」という手法がありますが、実際には途中で議論が止まってしまい、表面的な原因のみに留まることがあります。
たとえば、「なぜ売上が落ちたのか?」という問いで「広告効果が低かったから」という答えが出たとしても、それ以上掘り下げなければ「広告が効果を発揮しなかった理由」や「ターゲットのニーズの変化」などの真の原因にはたどり着けません。
6. 答えが限定的になりやすい
「なぜ?」は原因を一つの方向に絞り込む傾向がありますが、実際には課題に対して複数のアプローチが可能な場合があります。
たとえば、「なぜ社員が辞めたのか?」という問いに対し、「給与が低かったから」と答えたとしても、それが唯一の原因ではないことが多いですね。
環境面やキャリアの展望など、複数の要素を考慮する視点が必要になる場合、「なぜ?」だけではアプローチが限定されてしまいます。
本質に迫る“問い”のポイント
本質に迫るためには、問いそのものをデザインし、意識的に構築する必要があります。
「なぜ?」という問いに偏るのではなく、状況に応じて問いの種類や角度を変えることで、問題の核心や真の解決策に近づくことができます。
1. 視点を変える問い
「なぜ?」だけにとらわれず、状況や課題を多角的に見るために、さまざまな視点を取り入れる問いを意識するようにします。
視点を変えることで、従来の思考の枠を超え、新たな発見や洞察が得られます。
「何が問題の核心なのか?」
「現状でうまくいっている点はどこか?」
「この問題が他にどんな影響を与えているか?」
視点を変える問いは、「解決策のヒントを見つける」「気づいていなかった側面を明らかにする」役割を果たします。
たとえば、社員の離職率が高いという問題について、「なぜ辞めるのか?」だけでなく、「どんな人が辞めずに残っているのか?」という問いを加えると、成功要因にも焦点が当たります。
2. 未来志向の問い
本質に迫るには、過去の原因を探るだけでなく、未来に目を向けた問いを投げかけることが必要です。
未来志向の問いは、希望や解決策を見つけ出し、行動を促す力を持っています。
「この問題が解決したら、理想の状態はどのようになるか?」
「解決するために、まずどんな小さな一歩が取れるか?」
「これを回避するために、どんな仕組みが作れるか?」
未来志向の問いは、クライアントやチームが「どうしたいのか」「どこを目指すのか」という目標を共有し、実際に行動するモチベーションを高めることにつながります。
3. 優先順位を見極める問い
問題を解決するには、多くの要素が絡み合う中で、何を優先的に取り組むべきかを明確にすることが必要です。
本質に迫る問いは、焦点を絞り込む力も重要です。
「この問題を引き起こしている最も大きな要因は何か?」
「リソースが限られている場合、最初に解決すべき課題は何か?」
「他の要因を無視してでも、まず取り組むべき一つのことは何か?」
優先順位を見極める問いは、複雑な問題の中で時間やリソースを効率的に使うための指針を提供します。
たとえば、「業績が低迷している理由」について考える際、すべての要因を一度に解決するのは現実的ではありません。
そこで「最も大きな影響を与えている要因」に焦点を当てることで、取り組むべき初期のステップを明確にできます。
4. 相手の視点に立つ問い
相手の考えや感情に寄り添い、その人自身の洞察を引き出す問いをすることで、より深い理解が得られます。
特に、クライアントやチームメンバーとの対話では、相手が気づいていない課題や解決策を見つける助けとなります。
「あなたが最も重要だと感じている課題は何ですか?」
「この状況を改善するために、あなたができることは何だと思いますか?」
「他のメンバーから見たとき、どのように見えると思いますか?」
こうした問いは、相手の内面を掘り下げるだけでなく、他者視点を取り入れるきっかけを作り出します。
また、相手が自ら課題を認識し、行動を考えるプロセスを支援する役割も果たします。
5. 前提を疑う問い
問題に対する固定観念や、無意識に受け入れている前提を見直す問いを投げかけることで、新たな視点を生み出せます。
ときには「そもそもその問題は本当に解決すべきことなのか?」と問うことも重要です。
「この問題を別の視点から見るとどう見えるか?」
「そもそも、この状況は本当に問題なのか?」
「解決ではなく、この状況を受け入れる選択肢はあるか?」
前提を疑う問いは、行き詰まりを打破したり、思考の幅を広げたりするために有効です。
たとえば、残業削減の取り組みが進まない場合、「なぜ残業を減らせないのか?」ではなく、「残業そのものを必要としない仕組みは作れないか?」と問うことで、根本的な解決策を考えるきっかけになります。
6. 具体性を引き出す問い
抽象的な話から具体的な課題や行動に結びつけるためには、より詳細を掘り下げる問いが欠かせません。
具体的な情報を引き出すことで、解決策が現実的で実行可能になります。
「具体的にどの業務で問題が発生しているのですか?」
「その状況で、実際にどんなことが起きているのですか?」
「一番困った場面を教えてもらえますか?」
具体性を引き出す問いは、表面的な理解ではなく、状況を深く理解する助けになります。
また、相手が「具体例を考えるプロセス」で、自ら気づきを得ることも少なくありません。
社会保険労務士としての具体例
労務管理の現場では、顧問先が漠然とした課題を抱えている場合があります。
例えば「離職率が高い」と相談された際、次のような質問を投げかけると本質に迫れます。
「離職が特に多い部署や時期に、共通点はありますか?」(視点を変える問い)
「離職が減った状態を実現するには、まず何を優先すべきだと思いますか?」(優先順位を見極める問い)
「退職者がどのような言葉を残しているか、データはありますか?」(具体的情報を引き出す問い)
こうした質問は、原因を深掘りするだけでなく、解決策を考える材料を提供します。
本質に迫る問いを習慣にする
本質に迫る問いは、一朝一夕に身につくものではありません。
意識的に実践を重ねることで、日常的に問題の核心を見抜く力を養うことができます。
1. 問いを振り返り、改善を重ねる
自分がどんな問いを投げかけているかを振り返り、「その問いが本質に迫るものだったか」を自己評価する習慣をつけるようにします。
問いを振り返ることで、自分の問い方の傾向や改善すべきポイントが見えてきます。
質問日記をつける
1日に行った質問を簡単に記録し、「何を引き出せたか」「もっと良い問い方があったか」を検証する。フィードバックを受ける
チームメンバーやクライアントに、自分の問いが役立ったかを尋ね、次回に活かす。
問いの振り返りを習慣化することで、より良い問いをデザインする力が自然と身につきます。
2. 問いの種類を意識して使い分ける
本質に迫る問いを投げかけるためには、「どんな問いが必要か」を意識的に選ぶことが大切です。
「なぜ?」に偏らず、「どうすれば?」「何が最も重要か?」など、多様な視点から問いを構築しましょう。
シンプルな問いのフレームワークを活用する
例えば、次のようなテンプレートを状況に応じて使います。「この問題の核心は何か?」
「理想の状態を実現するには何が必要か?」
「最も優先すべき課題はどれか?」
対話の中で問いを組み合わせる
1つの問題に対して複数の角度から問いを投げかけることで、核心に迫ります。
問いの種類を使い分ける習慣を持つことで、どんな場面でも的確な問いを生み出せるようになります。
3. 日常の小さな場面で問いを試す
本質に迫る問いは、日常的な対話の中で練習を重ねることで習慣化できます。会議や日常会話といった小さな場面で問いを意識的に使い、実践を重ねてみましょう。
定例ミーティングで問いを活用
例えば、会議の場で「この週で最も重要な成功は何だったか?」「次の一歩を踏み出すには何が必要か?」といった問いを投げかける。自分自身への問いを立てる
日々のタスク管理や自己振り返りで、「今最も優先すべきことは何か?」などを問い、自分で考える習慣を持つ。
日常的に問いを投げかける場を増やすことで、自然と問いを磨くことができます。
本質に迫る問いを習慣にするためには、 ①問いを振り返ること、②問いの種類を意識すること、③日常の小さな場面で実践すること の3つが鍵です。
これらを繰り返し実践することで、問いをデザインする力が高まり、問題の核心を見抜くスキルが自然と身についていきます。
まとめ
「なぜ?」という問いは大切ですが、それだけでは十分ではありません。
本質に迫るためには、「視点を変える」「未来を見据える」「優先順位を明確にする」といった問いを加えることが必要です。
これらを習慣化することで、クライアントやチームの課題解決能力を飛躍的に高めることができます。
【今日の問いかけ】
「今、自分が最も注力すべき一つのことは何だと思いますか?」
この問いは、忙しい日々の中で優先順位を見極める助けになります。
「たくさんのタスクや問題に追われている」と感じるときこそ、最も重要な一つを明確にすることで、効果的な行動を取るきっかけが生まれます。
その一つを選ぶことで、他のタスクにも良い影響を与えられるものは何か?
自分の目標や価値観に最も合致することは何か?
今日という時間で、具体的にどんな一歩を踏み出せるか?
この問いに向き合うことで迷いを減らし、より集中して取り組める1日にしていきましょう!
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