蒸篭と暮らす
もわああああん。
立ちのぼる湯気。
どうしたってあがる口角。
両手にはミトンの代わりの布巾をもって、やけどに注意してよいしょっとコンロからおろしてテーブルに持っていけばもうおどりだしそうないいかおりがぷうんとね、ほら熱いうちに食べようよ、ああポン酢がいいよね、箸をひっつかんでがっと持ちあげてちょいとポン酢にひたしてパクっと。うんまあ~~~~~~~。
食べているのはシュウマイでありまして、そうさっき蒸しあがったシュウマイでありまして。これが最高にうまいにきまっているわけなんだよね。これができるようになったのはそうおうちに蒸篭(せいろ)を迎えたから。深い木のかおりのする、編みこまれた、うす茶色の、二段に重なった、両腕でまるをつくったときより二回りくらい小さいくらいのおおきさの、蒸篭。
蒸しざんまいの日々、はじまる
最初は
肉シュウマイとたっぷり蒸し野菜。なんだこれ。うまい。
次の日にも
肉シュウマイとたっぷり蒸し野菜。ああうまい。
次の次の日には
肉シュウマイと、エビシュウマイ。
うまい!!!
(これを書いている途中の夜にも二度目のエビシュウマイを蒸して食べました。連日蒸してる・・・)
なにを蒸してもうまいってどういうことなんだろうね、しかもこんなに暑い日だってのに、台所にたたずむ蒸篭と目が合ってしまって、とたん蒸したくなる。
「ねえ今日も蒸篭でいいよねえ」ってパートナーににんまりしながら聞いて、いやだったためしがない。「うん、そうしよう」にんまりの連鎖。すっかり虜になってしまった我々である。
蒸篭のいいところはきっとたくさんあるのだけどみっつあげるとしたら
1:すぐできる
(入れて10分ほうっておくだけ)
2:すぐ片付けられる
(濡れふきんでくるっと拭くだけ)
3:たっぷり食べられる
(特に野菜。ごぼうも人参も、信じられない量をぺろり)
きっとこのみっつだと思う。とにかくパパっとできるから心も身体もキラクにいられるし、暑い日が続いていてもスルッと食べられてしまうし、あったかいからおなかにもやさしい。こんなに楽ちんでいいのだろうかって思う。
新しい台所道具で、気楽に冒険を
新しい台所道具というのは、
新しい世界へ連れて行ってくれることを知った。
それまでなかった「蒸す」という選択がくわわると
その日のごはんの選択肢がいっきに広がっていく。
今調べてみてびっくりしているんだけど
調理方法にはなんと七つもあって
【1】焼く【2】茹でる【3】炒める【4】揚げる【5】煮る【6】和える【7】蒸す・・・だそうな。こんなにあるんか。
ふだんの料理をぐるっと思い返すと、【1】焼く・【3】炒める・【4】揚げる がまだまだ余白ある気がしてくる。焼くためのガスバーナーはほしいほしいと長らく思っているし、炒め料理を意外とやらないのでやってみたいし、揚げるにかんしては家でやるのがおっくうすぎて揚げ物屋さんに頼ってる(揚げ物屋さんのがおいしすぎるってのはもちろんある)。
それまで遠かった調理方法も、
台所道具ひとつでググっと近づいてきてくれることがある。(それを身にできるかどうかはそのあとの使いようにもよるんだろうけど)(しんぼう強く使いこなしたい)
とはいえ、今日も蒸篭と目が合う。むふふ。
しばらくは蒸篭に夢中になりそうです。
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