- 第9話 - ついに始まった地獄の営業所生活!初日
やあやあ。
Nariです。
\\最年少//
\\女子//
\\\元ペーパードライバー///
タクシードライバーとして働いています。
無事入社式が終わり、
社会人になった実感が湧き上がります。
↓ ↓ ↓
今日は会社の健康診断がありました。
都内だったのでチャリで行ってきました。
そうです。
あのチャリです。
地理試験の時に大活躍したあのチャリです。
↓ ↓ ↓
いい運動ですね。
あぁ、タクシーなんてはじめたらずっと座りっぱなしで腰痛や肩痛に悩まされ、
長時間トイレに行けず膀胱炎になり…
いや、座りっぱなしなら痔にもなるリスクが高まるだろう...
よく聞くエコノミー症候群ってのもなりやすいんじゃなかったか?
というか運動不足で今後受ける健康診断も引っかかったりして…
あぁ、日々の運動を心がけなければ...
なんてことを考えながらあっという間に到着しました。
受付を済ませ、中に入るともうすでに同じ営業所の人が集まっています。
セイコ、チサト、アキナもいます。
昨日はじめて見た黒髪丸メガネもいます。
タクシー運転手ではないみたいなので
まるで小学生みたいに『ズルい』という感情を抱き、
しばらくの間、あだ名は丸メガネになりました。
セイコたちも同じ気持ちのようで、
「あの丸メガネいいなー」
「ズルすぎるやろ」
「ただのチートやん」
「ヤクルトの村上やん」
などと不満を爆発させていました。
更衣室に移動し、それぞれに配られたのはタクシー乗務員用の制服で、それを身にまといます。
早速、何とも言えない気持ちになります。
ただひとつ、制服のタイだけは柄付きでかわいいから許します。
制服の採寸も終えて、呼ばれた部屋には、おっさん2人とデジカメ。
どうやら健康診断の前に写真を撮るというのです。
座ってこっちむいてくださいと言われ、とりあえずはにかみました。
この写真、タクシー運転手のみなさんならご存知、
アレに使われる羽目になります。
簡単な健康診断を済ませて、
チャリで近所のな◯卯に行き、
麺を勢いよくすすり、帰宅。
夜20時を回ったところでしょうか。
ここで問題が発生。
会社から連絡がこない。
つまり、明日からの出勤をどうすればいいのかわからないのです。
とりあえずアキナに連絡します。
女子軍団の中でアキナが1番家が遠いからです。
アキナは上京時、まさかタクシー運転手をするわけないと思っていたので、
本社に近いところに家を借りました。
ところが営業所勤務になったため、
めちゃくちゃ遠くなってしまった、
というわけです。
可哀想に...
そんなアキナには誰よりも早く、
明日の集合時間の連絡が来ているはず...
と思っていたんですが、
ことごとく期待を裏切るこの会社。
「何か会社から連絡きた?」
「ううん。何もない」
(・ω・)
明日どこに出社すればいいのでしょうか?
本社?それとも営業所?
そもそも何時に?
セイコも家から営業所まで1時間近くかかるため、明日の集合時間には非常に困っていました。
チサトは諦めてもう寝たみたいです。
21時をすぎた頃、一本の電話がかかってきました。
知らない番号です。
電話に出ると、少しというか、だいぶ変わっている話し方の男性。
「連絡遅れてごめんな。明日は営業所の最寄り駅に7時半に来てほしい。よろしく」
( ゚д゚)
連絡遅すぎるわ。
しかも意外と朝早いじゃないか。
すぐに寝ました。
朝になりました。
ぴったり7時半に駅に着きました。
そこには絶対に仲良くなれそうな女性と男性が待っていました。
私はわりかしフレンドリーな方ですが、
本当に仲良くなれそうにもないのです。
昨日の電話の声からのイメージそのまんまの男性。
なんかヲタクそうな感じでもあり、挙動不審でもある感じ。
貧乏ゆすりが激しく、目も合わせないで生き急いでるような人でした。
女性の方も陰湿な雰囲気。
人を見た目で判断することだけはしない私でさえも、この2人はものすごい負のオーラを放っているようにみえました。
そうして同期と一緒に営業所へ向かいます。
歩いていると明らかにこれだろうと思われる建物が見えてきました。
第一印象。
めっちゃボロい。
ガタガタなコンクリート。
台風対策でもしてるのかってくらいにガムテープが貼られている木製の窓。
案内され、階段を登ります。
ギシギシと錆びた階段がうなる。
中に入ると、平成生まれの私でも多分分かる程の昭和感。
なんか懐かしい感じ。
連絡事項が上から下までびっしりと壁に貼り付けてあります。
よく見ると昔ながらの画鋲ではないか。
そして人生で初めて見ました。
いろんな人の出勤ふだが大量に壁にかかっています。
おそらく1000枚くらい。
どこかで見たことがあります。
思い出した!千と千尋の神隠しで出てきたぞ!
赤で書かれた自分の名前が書いてあるふだを、出勤したらひっくり返して黒に変えるやつだ!
どうやらタイムカードはないらしいです。
ここで待機してくださいと連れてこられた狭い部屋には、背もたれの無い丸い椅子が並べられてありました。
しばらくすると入社式に挨拶した所長や上司らしき人たちが入ってきて、今から自己紹介をしますと挨拶に来ました。
ここの段階で気になっていたのですが、先輩いえども1歳や2歳上とかではなく、めっちゃおじさんか10歳上くらい離れている気がします。
ちなみに紹介された次長や部長など役職がありそうな人は、もちろん全員おっさん。
女の人もいました。でも2人しかいません。
さっき朝迎えに来てくれた人とロングヘアの無表情な人、おそらくどちらも50代、以上2名。
ジャイアンみたいな主任。
「シフトの管理をしてます、主任でーす。ファイターズファン以外は無視するかもしれませーん」
ソフトバンクホークスのファンの私はどうしたらいいんでしょうか。
干し芋みたいな課長。
「納金担当、課長です。女の子、奢ってあげるからお寿司食べに行こう」
こんな感じでどんどん紹介される中、やばい人がいました。
60代くらいの次長。
哺乳瓶の形のスマホケース。
誰1人笑っていませんでした。
しらけた空気の中、
新卒向けの教育係がドドっと入ってきました。
タクシーのマニュアルやらタクシーのメーターの操作方法やらなんやらを教えてくれます。
なんと全員が一個上の現役ドライバーらしいです。
女性2人に男性5人。
なんと嬉しいことでしょう。
女性の先輩がいることの嬉しさ。
後から聞いた話ですが、一年で半分以上が辞めていき、この数になったらしいです。
お昼の時間がやってきました。
主任に
食堂で食べる人いるか?
と聞かれ、手を挙げます。
なんと私しかいません。
もう手をあげてしまったし、
今さら断れないし、
どっちにしろお弁当も持ってきてないし...
仕方なく1人で食堂へ行き、とんかつを食べるが、量が多すぎます。
普通に美味しくてよかったです。
ただ食堂のおっちゃんとおばちゃんがめちゃくちゃ喧嘩していたのが飛び火し、お金を渡す際に八つ当たりされたのは除いて。
新卒教育係 兼 現役ドライバーの先輩たちは、
私たちと歳が近いせいか
「うん。これから頑張っていこうね。嫌なこともあるけど」
と励ましてくれました。
明日から本格的にタクシーの運転手になるための研修がはじまります。
どんな試練が待ち受けているのでしょうか。
ではでは。
nari