帝国データバンク史料館(東京都千代田区・市ヶ谷駅)
経済関連のニュースや資料なんかでよく目にする帝国データバンク。企業を対象とする国内最大手の信用調査会社で、この情報を元にして企業の社会における信用度の指針となっていることも多かったりする。その帝国データバンクに史料館があるということで、日本経済を担う一員として(言い過ぎ)これは攻略しておかなくてはと思い立ち市ヶ谷へ。
史料館は防衛省の向かいにある。普段から警備が多い靖国通り沿い、帝国データバンクの東京支社内を訪れる。なお、現在の見学は予約制となっている。
受付で予約の旨を伝えてから担当者に連れられて史料館のあるフロアへ。企業ビル内にあるミュージアムは一般的なミュージアムに比べると敷居が高いのか他に訪れている人もなく独占状態。担当者が待機している傍らで自由に見学することができる。1フロアながらビル自体が広いので史料館自体も割と広い。
興信所としてスタートした帝国データバンク。創業者の後藤武夫による最初は個人企業として結婚調査など個人調査としての意味合いが強かった帝国興信社が、資本主義の発展を目の当たりにして企業の信用調査へと移って行く。
当時は企業の信用調査として金融機関からの援助などによる名古屋以西の「商業興信所」(外山脩造)と名古屋以東の「東京興信所」(渋沢栄一)とがあったものの、独力で動く帝国興信社は全国をカバーするという意気込みのもと、長年かけて少しずつ事業を拡大してその二強に対抗できるだけの実績を作り上げたらしい。やがて戦後の財閥解体で二強は没落し、代わって台頭して現在では信用調査の最大手としての地位を築き上げたのだという。
企画展示は山本周五郎。歴史小説家が帝国データバンクとどういうつながりがあるのか、と思ったら彼はまさかの元従業員だった(遅刻・欠勤が多くて馘)。実は小説を書くにあたってこういった信用調査会社で情報を集める小説家は多いらしく、松本清張などもこの会社で情報収集を依頼していたという。小説家と信用調査会社との意外な接点。あと変わったところでは新選組の永倉新八の孫が札幌の支店長を務めていたり、実践女子大学を作った下田歌子との関わりがあったり、何かと面白い関わりがある会社だというのがわかる。トイレはウォシュレット式。