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竹久夢二美術館(東京都文京区・根津駅)
竹久夢二美術館は弥生美術館の2階から繋がっている。大正ロマンの代表格として知られる竹久夢二。今でもその作品は根強い人気がある。恋愛にも奔放だったことで知られる竹久夢二の、恋愛も含めた交友関係を、彼が手がけた作品と共に紹介するようなかたちの『夢二をとりまく人間関係』を企画展として開催している。
展示室はまず2階から。こちらでは主に仕事に関わった人物との交流を紹介している。挿絵を提供した相手として島崎藤村、与謝野晶子、野口雨情、秋田雨雀、葛原しげる、谷崎潤一郎、西条八十、川端康成といった当代きっての人物が名前を連ねる。これらの作家と対等に渡り合ったというだけでも夢二がどれだけ愛されていたかがわかる。
もちろん挿絵だけでなく絵画も志した竹久夢二、続いては藤島武二、岡田三郎助、有島生馬といった画家へのリスペクトも強かったという。そして逆に年下にあたる蕗谷虹児、恩地孝四郎、田中恭吉らとも交友を深めており、特に恩地孝四郎は萩原朔太郎の作品も手がけており、隣接する弥生美術館の楠本まき展でも萩原朔太郎の『黒い蝙蝠』の一説が引用されている。
作家では他に吉井勇、長田幹彦、徳田秋聲、有本芳水、巌谷小波、柳原白蓮の装丁を手がけており、その作品が紹介されている。中でも久米正雄や吉屋信子には多くの装丁を手がけている、そこから手紙のやりとりなども盛んに行われたことがわかっている。
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1階に降りると次は夢二を慕っていた人物、ということで彼らが手元に置いていた夢二作品と共に紹介している。上田龍耳、正木不如丘、野長瀬晩花、田河水泡、岩田専太郎らに慕われ、またプライベートでは岸たまき、笠井彦乃、佐々木カネヨとの恋愛についてや、次男の藤彦、そして恋愛の方面から虎視眈々と関係を狙う山田順子の紹介を事細かにしている。舞台では島村抱月や松井須磨子、音楽では山田耕作、中山晋平、妹尾幸陽、淡谷のり子、といった人物との交流が知られている。
かといいながら生活は必ずしも満たされていたとは言えず、生活は困窮したという。そんな中で困窮した夢二を救うために色々な手を尽くして挿絵の紹介をしたりしている。多くの出版社に愛された竹久夢二、たとえプライベートが破綻していても素晴らしい作品を作ったということを知っておく必要があるかもしれない。
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