朝倉彫塑館(東京都台東区・日暮里駅)
朝倉彫塑館へは何度目の訪問になるだろう。朝倉文夫の作品はこれまでも都内で多く目にしてきた。むしろ朝倉彫塑館に訪れて朝倉文夫の存在を知ったことで、街にある彫刻を誰が作っているのか気にするようになったほど。都内にはこれでもか、というほど朝倉文夫の作品が展示されている。
今回は大河内正敏と理化学研究所についてと今年の干支が寅ということで、同じネコ科の動物の作品を館内で展示している。ネコ好きでとにかく多くのネコを飼って作品に残している朝倉文夫だけにやや強引な設定だとも思ったが、これはこれで良いでしょう。
大河内正敏は理化学研究所の所長をつとめた人物で、理研グループの会社を多く起こしたこととされている。朝倉文夫は彼の銅像を多く作っており、それもあっていくつか賞を受賞している。
展示室はアトリエがある洋館と旧宅の和館で、それぞれは繋がっている。和洋折衷どころか融合である。設計は朝倉文夫によるもの。
まずはアールのかかった高い天井のあるアトリエへ。以前に訪れた時は館内が一部撮影可能だったが、今回は展示品の関係か撮影自体ができなかった。代表作である『墓守』をはじめ、巨大な大隈重信像、さらに巨大な小村寿太郎像がデン、と構えている。
アトリエから和館へと移り、大きな書斎、応接間を通り過ぎればもう一つの玄関である天王寺玄関へ。前回おとずれた時は小雨だったが今回は晴れということもあって見学者も多い。屋敷の中庭にある五典の池をぐるりと囲むように歩きつつ、居間、茶室を経て寝室、ピアノの間を次々に回って2階へ上る。和館にはトイレが二箇所あり、いずれも和式のままで残されている。階段を上った先には素心の間。この隣にある八畳間にの柱には呼出用のボタンがある。ボタンを押せば1階の階段下にあるランプが点灯し、すぐに駆けつけることができるようにしていた。同じように他の部屋にもボタンがあるらしいのだけれど、実はまだ未発見だったり、展示していない場所にあったりするらしい。今まで回ってきた部屋にも本来はあるはずなので探してみるのも良いかもしれない。
次に3階へ。ここで洋館の方へ移る。とても不気味な模様の鉄扉があるのが特徴的で、ただの倉庫として使用されているものらしいが、これは和式から洋式の建物に移る時に違和感ないように漆をイメージしたものだそう。けれどどう見てもホラー映画にしか思えない不気味なデザインをしている。3階は朝陽の間として来客を迎えるためとても広い部屋になっている。天井の板も変わらず造形が素晴らしい。
今回は屋上庭園も上がることができた。個人で作られたものとしては国内初である屋上庭園。谷根千エリアは建物が低いので360度を見渡せる。ただし隣の土地が現在は再開発でいずれは高いビルが建設されるそう(遺跡が発見されたため現在は休止中)で、屋上庭園の眺めも変わってしまうのかもしれない。
階段を降り、最後はかつて蘭を栽培していた蘭の間。ここでは朝倉文夫の猫好きなのがいやってほど伝わってくるネコの作品や生前の写真などが見られる。
入口へ戻ってきて一周して終了。こちらのトイレはウォシュレット式。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?