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崎陽軒横浜工場(神奈川県横浜市・小机駅)

神奈川県民、特に東側の人間にとってのソウルフードの一つであるシウマイを一手に担っているのが崎陽軒である。駅構内にも崎陽軒の店が並び、それが原風景になっているといっても過言ではない自然な風景でもあるそのシウマイを生産しているメインの崎陽軒横浜工場は見学の競争率も非常に高い場所なのだけれど、奇跡的に予約がとれたため見学することに。最寄駅は小机駅だが歩くとそれなりに遠い。

正面からの工場

鉄道が一般的な旅行手段となった高度経済成長期、各駅では名物となる食べ物が駅弁として販売されていたが、横浜にはこれといった名物がなかった。そこで初代社長の野並茂吉が名物を探すべく市内をくまなく探していたところ、中華街の中から名物を弁当にしようと点心である焼売に目をつけた。

工場の入口は電車みたいになっている

従来の焼売は冷えると味が落ちることから、中国人シェフと試行錯誤しながら冷えても味が落ちない素材を探し、これを採用したことでシウマイが誕生したという。

最初の映像室 左側にその素材がずらりと並んでいる

なお、崎陽軒の名前は野並の義父で創業者だった久保久行の出身である長崎の別名とされる崎陽から取られている。崎陽軒で製造されている製品は一般的な呼び名である「シューマイ」ではなく「シウマイ」である。これは初代社長である野並茂吉の栃木訛りが強く、「シーマイ」と発音していたところ、中国人スタッフが現地の発音に近いと指摘したことから「シウマイ」と明記したという。その単語の中に「ウマイ」も入っており縁起が良いというのもある。

見事に並んだラインナップ

崎陽軒のマスコットキャラクタとして醤油差しの「ひょうちゃん」が挙げられる。シウマイのパックに入っている醤油差しで、ランダムの絵柄でコレクターアイテムとしても人気を博している。初代のデザインはマンガ家の横山隆一、なにげなく醤油差しに絵を描いたところそれが好評でキャラクタとなったという。二代目のデザインは原田治。そのあと復刻で横山隆一のデザインとなり、他にも柳原良平がデザインを担当したりもしている。

ひょうちゃんの歴史ギャラリーもある

豚肉、玉ねぎ、帆立の貝柱、グリーンピース、砂糖、塩、胡椒に澱粉というシンプルな中にある味わいが深い。工場見学ではシウマイの成形から皮に包んで蒸し、箱詰めされて行くまでの工程を見ることができる。また別フロアではシウマイ弁当の作業工程も紹介。手作業で食品を詰めて行く工程もまた見どころがいっぱい。

内部は撮影できないがおおよそこんな感じ(映像室にあるパネル)

落語家の桂歌丸が好きだった横濱チャーハン弁当(ただしグリーンピースが苦手)の工程も見られる。なお、東京ー横浜間という駅弁の販売するに向いていない状況を打破するために女性の売り子を「シウマイ娘」という形で宣伝も兼ねた戦略として打ち出したのだけれど、この「シウマイ娘」を桂歌丸の娘も務めたことがあるという縁もある。

駅弁として販売されたシウマイ

見学が終了すれば試食コーナーとして、昔ながらのシウマイと旨みの深い特製シウマイ、サブレが食べられる。また醤油差しのひょうちゃんもお土産に持って帰れる。

見学のあとのお楽しみである試食

今や日本で最も売れている駅弁となった崎陽軒のシウマイ。さすがは競争率の高い見学ということだけあってそれだけの価値がある。お土産コーナーではそこで食事できるスペースもある。トイレはウォシュレット式。ちなみにすぐ隣には廃墟になっているラブホテルがあり、崎陽軒とは関係ないながらも見どころの一つ。

すぐ真横にあるのでどうしても目に入るトロピカル


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