友愛労働歴史館(東京都港区・三田駅)
三田と芝公園のほぼ中間にある友愛労働歴史館。労働運動や社会運動を中心とした資料の展示を行なっている。HPで存在を知ったものの開館時間などがよくわからず、当日になって恐る恐る突撃をかましたら開館の案内板が出ていたので見学してみることに。そういう状況なのでもちろん他に見学者はいない。
友愛労働歴史館が8階に入っている友愛会館・三田会館は、もともとジョサイア・コンドルが設計したプロテスタントのユニテリアン教会・惟一館があった場所で、アメリカからユニテリアンを招聘したのは福沢諭吉である。日本における社会主義運動はプロテスタントと深い関わりがあり、友愛会を支えたマッコーレイ牧師をはじめ、創立者である鈴木文治や社会主義研究会を作った安部磯雄も教会職員であった。ちなみに安部磯雄といえば早稲田出身の日本野球の父である。ここに慶應義塾の福沢諭吉、早稲田の安部磯雄という妙な縁もある。
友愛会を支えた著名人には渋沢栄一や新渡戸稲造といったお札の人たちもいる他、ノーベル賞の候補に何度も上がったという賀川豊彦も中心人物として挙げられている。興味深いのが、団体の性質上どちらかというと左派寄りの思想を持つ人物であるかと思いきや、天皇制に積極的な姿勢を示しているなど右派の考えを持っていたということ。中庸だからこそ世界的に知名度を持った人物だったのかもしれない。
その名前から政治的なアプローチもあるのではないかと少し構えていたものの、ミュージアム内は特に具体的なアプローチがあるわけでもなく純粋に日本の労働運動の歴史をひもといている。政治的な思想はぶっちゃけ個人の自由なのでどうでも良いけれど。トイレはウォシュレット式。こういうミュージアムには珍しく喫煙所もある。