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オリンパスミュージアム(東京都八王子市・北八王子駅)
カメラのメーカーとして一般的に知られているオリンパスのミュージアムが八王子にある。こちら一帯が北八王子工業団地として多くの企業が入っており、オリンパスミュージアムがある本店・技術開発センターもここにある。
実は見学には事前に予約が必要だったらしく、全く前情報を持たずに訪れた際にそのことを知り轟沈。あやうく諦めかけたものの、せっかく来たのだからとダメもとで当日の見学ができないかを打診してみたところ、なんと対応いただけることに。
なぜ予約が必要かというと、一般的な博物館が自由見学なのに対して、こちらのミュージアムでは添乗員の方が付き添って説明する流れになっているからで、添乗員の時間を確保するためにも事前に予約が必要だということがわかってきた。それにも関わらず快く対応いただいたのには感謝しかない。ここまで来た甲斐があった。
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ミュージアムは1フロアの中に3つ、顕微鏡とカメラと医療機器のコーナーがあって、コーナーごとに歴史を辿りながら説明をしてもらうという流れになっている。顕微鏡とカメラの業務は分社化、別会社の事業として引き継がれ、現在オリンパスでは医療機器に絞った業務を行なっている。
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カメラのイメージが強いオリンパスだけれどその始まりは顕微鏡から。創業者である山下長が顕微鏡をメインとした高千穂製作所を立ち上げたことにはじまる。最初に作った顕微鏡「旭号」が展示されている。もともと八王子は養蚕が盛んな地域で、蚕の病気を調べる目的が主に使われたそう。この頃の顕微鏡は単眼式で、片目で見る方式だった。徐々に技術開発が行われ、複眼式や真鍮の顕微鏡が作られて行く。昭和天皇も愛用しており、たしか昭和天皇記念館にも残されていたはず。こちらにも愛用のものと同型の顕微鏡の一つが展示されている。
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当初はピントの強弱がレンズ側だったり(ピントを絞るたび見る側が上下しなくてはならない)、下からの照明がなかったり(鏡を使って光の代わりにしていた)様々な問題点があったが、少しずつ解消して次第に現在の形へ。やがてレンズの情報をモニターに映す電子顕微鏡へと変わる。
応対いただいた添乗員は中島さん。かつて高田純次が番組『じゅん散歩』でここを訪れた際も応対していたらしく、その時にアドリブで高田純次が10円玉を取り出して平等院鳳凰堂の鳥を見始めた、なんてエピソードも。
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カメラの最後は非破壊検査について。柱のクラックなど外観では判断がつきにくいものを検査する技術も開発している。実地では配管の中にカメラを通すなんてこともできる。こういった技術が医療機器へ生かされているのだろう。
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カメラのコーナーでは初期型のカメラを展示。顕微鏡から15年ほど経ち、オリンパスは渋谷に瑞穂光学研究所を設立、培った技術を活かした写真レンズの研究に取り組むなかで「ズイコー(瑞光)」を開発。これを組み入れた「セミオリンパス1型」を製造した。ちなみにこの頃はレンズ以外は全て他社によるものだったという。そのあとは自社でその他の部分も作るようになり、カメラ事業へ本格的に進出することに。
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今では見られることの少なくなった二眼レフカメラなどもある。ちなみに二眼レフカメラ、実際に手に取ることもできる。使い方が違うのがとても特徴的である。ちなみにオリンパスのカメラは1970年の大阪万博においてタイムカプセルに入れられたアイテムの一つらしく、5000年後に開けられるらしい。楽しみですね。
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最後は医療事業のコーナー。医学における重要な課題の一つだった身体の中を見るという試み。近世ヨーロッパでは棒状の鏡を口から挿入していたという、まるで罰ゲームのようなことをしていた。世界初の胃カメラ「GT-I」が展示されている。先端にレンズとランプ、それにフィルム(!)が付けられている。人体に入れるものなのでフィルムがめちゃくちゃ小さい。この頃は静止画の撮影で、ある程度エリアに見当をつけて撮影しなくてはならなかった。
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そこからガラスファイバーの普及によってリアルタイムに観察できるないし起用へと進化し、手元のコントローラーで先端のカメラの向きを動かせるように発展。さらに先端へと鉗子を通して、カメラ観察しながら簡単な切除までできるようになった。ここでは実際に手に取って内視鏡を使ってみたり鉗子で異物を掴んだりすることもできる。
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当初は30分くらいしか時間が取れないということだったものの、しっかりと1時間に渡って(おそらく昼休憩時間に差し掛かっていたにも関わらず)対応していただいて、本当に感謝するばかり。とても充実した時間であった。トイレはウォシュレット式。
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