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日本文具資料館(東京都台東区・浅草橋駅)
文具である。誰もが大好き文具。浅草橋駅から線路沿いに隅田川方面へ進むと見えてくる東京文具販売健保会館の1階にある日本文具資料館では、とにかく文具に関する膨大な資料が展示されている文具好きには必見のミュージアムである。
筆記用具を中心として様々な文具が体系的に展示されているのが特徴で、入口から既に圧巻の「漢委奴國王」で知られる金印(複製だけど純金)お出迎え。東京でこれが見られるとは。他にも水晶で作られた大水晶印や中国の古硯などもある。中でも端渓硯という古代中国で使われた古硯には化石も混じっていたりする。
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やはり注目なのは伊達政宗や徳川家康が使用していたとされる鉛筆だろうか。日本における鉛筆の歴史は、明治時代以降になって鉛筆が輸入されるまでは断片的にしか伝わっていなかったそうだけれど、戦国時代には既に鉛筆が使用されていたことがわかるという資料的な価値が高いものとなる。現在の鉛筆ともそれほど違いがない。
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また万年筆は海外で発明されるまえに日本で発明されていたという意外な事実もわかる。しかも作ったのは鉄砲で有名な近江国友村の藤兵衛という人物。またペンといえば、シャープペンやボールペン、マーキングペンの歴史の変遷が紹介されている他、タビュラとスタイラス、羽ペン、葦ペン、ガラスペンといった古代ギリシャから中世に至るまで使用された筆記用具も現物が展示されている。
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江戸時代の携帯用筆入れである矢立のコレクション、世界各国のペン先コレクション、樫尾敏雄記念館にあった初期型の大きなカシオ計算機をはじめとした電気機械式計算機や手動機械式計算機、そろばんにインク、筆(超巨大な筆がある)といった数々のコレクションは他の追随を許さない。
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開館時間が平日の午後3時間ほどというかなり短い時間なのがもったいないけれど、その圧倒的な展示数に圧倒される。見学時間は少なくとも1時間以上は想定する必要がある。トイレは男女共用の個室ウォシュレット式。
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