見出し画像

実践女子大学香雪記念資料室(東京都渋谷区・渋谷駅)〜白根記念渋谷郷土博物館・文学館(同上)

・実践女子大学香雪記念資料室

國學院大学のすぐ近くには実践女子大学の誇る記念資料室がある。創設者の下田歌子を記念して造られた博物館で、大学の所有する日本画を中心として展示がされている。ちなみに構内には向田邦子文庫展示室もあるが、現在は休館中のため観ることができない。向田邦子の書いたシナリオや関連する雑誌などの他に遺品を紹介しているらしい。すぐ隣には女子大学ではあるが男女ともにトイレがある。ウォシュレット式。

今回、香雪記念資料室では江戸後期に活躍した女性の日本画家をメインとした企画展を行っている。池大雅の夫人である徳山玉瀾や、八木巽所の夫人である香川氷仙など、画家の身近にいることで薫陶を受けて画家として発芽した人や、頼山陽に師事して大成した江馬細香、詩人としても優れていた梁川紅蘭といった女性の作品をメインに展示している。館内は決して広いわけではない(第1展示室は30分ほど、第2展示室は15分ほどで一通り観られる)けれど、当時の貴重な絵画、特に女性画家という視点から集められている作品は純粋に興味深い。

第2展示室では下田歌子の遺品なども展示されている。容姿と才能に恵まれたという下田歌子。浮名なども相当あったようだけれど、生前の写真を見るととにかく眼光が鋭く厳格な人柄が偲ばれる。

大学構内は文化祭も近いのか、学生たちが色々と取り組んでいる姿が垣間見えて微笑ましい気分になるのである。誰かイベントがあれば弾かれるのか、グランドピアノも設置されている。最上階まで吹き抜けになっており天井がとても高い。構内は剥き出しのエレベータがある。オフィスビルのようなスタイリッシュな校舎である。

・白根記念渋谷郷土博物館・文学館

実践女子大学を出て、皇族の住居である常盤邸をすり抜ける。基本的に皇族は皇居か赤坂御所に住居があるらしいが、唯一の例外として上皇の弟である常盤宮はここに邸宅を構えているらしい。壁の上にはおそらく電流が流れるワイヤーが張り巡らされている。警官も警戒しており物々しい。泥棒気分でそこを抜けると白根記念渋谷郷土博物館・文学館がある。

名前が長ったらしいのはさておき、入り口から忠犬ハチ公がお出迎え。そうよね、渋谷だもの。なんてほっこりした気分になりつつ、1階で行なわれている企画展へとスライドする。企画展は渋谷の寺社について。正直なところあまり渋谷の寺社には詳しくないし地理関係がよくわからないのだけれど、たとえば福岡藩主だった黒田長政のお墓が渋谷区にあったりと、歴史に踏まえるとなかなか興味深いものが見えてくる。

地上1・2階と地下2階という3フロア構成になっており、次に向かうのは2階。こちらは渋谷の郷土エリア。地下鉄の工事中にナウマン象の化石が発掘されたというエピソードや、地殻変動の激しい渋谷において水問題を中世ではどう解決したのか、各村の信じる宗派によって変わる塚の建て方などが展示される。

画像2

やがて江戸時代から近代へと移り、渋谷駅前の歴史が展示される。ここでハチ公が登場。ちなみに現在のハチ公像は2代目で、初代のハチ公像は戦争による軍需捻出のために溶かされてしまった。戦争はいかん。明治、大正、昭和、平成を経ての現代があるということをじっくりと説明していてわかりやすい。

地下2階に降りれば今度は文学に関する資料室になる。渋谷に住んでいた文士は割と多く、その中でも与謝野鉄幹・与謝野晶子の二人にスポットを当てている。他にも志賀直哉や田山花袋、三島由紀夫なんかも住んでいた。現役の時代小説作家である平岩弓枝(代々木八幡宮の宮司の娘)やアララギ派などの交流を展示しており文学好きには見応え充分。評論家の奥野健男が生前に使っていた机の展示もある。ほぼクラシックしか聞いていなかった模様。ここにJ-POPとかあれば楽しいのに。トイレはウォシュレット式。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?