千代田区日比谷図書文化館(東京都千代田区・日比谷駅)
千代田区における郷土博物館の機能をもっている施設が日比谷公園の中にある千代田区日比谷図書文化館。ユニークな三角形の形をしたこの建物は、名前の通り図書館施設がメインでありながらも、中にはしっかりと博物館の展示室がある。
企画展としてフランス文学者の鹿島茂によるコレクション展『稀書探訪』が開催されている。19世紀のフランスを専門とした文学者の鹿島茂は、その卓越した知識からバルザックやユーゴーなどフランス文学を中心に紹介しており、今回の展覧会は12年もの間ANAの機内誌で連載された『翼の王国』で取り上げた書籍や資料を紹介している。
フランスに行っては古本屋を訪れ、その場で一目惚れした本をすぐに購入してしまう。40年もの間つづけてきている古書収集のために自己破産の寸前までおちいったこともある。いわく「収集という名のデーモンに心身を乗っ取られていたから」で、とにかく病的とも言えるほど古書を集めるのに固執し、自分が気に入った本を買うためのお金を得るために原稿を書いていた、というほど歯止めが効かないコレクター、つまり偉大なる変態の一人でもある。素晴らしい。
展示会の最初には本人からのメッセージが寄せられていて、自分がいかに古書に魅入られたのか、ということを雄弁に語っているのだけれど、ほとんどが言い訳で締められている。もちろん自己破産の寸前まで陥った時にストップがかけられて以降はコレクションは止まったそうだけれど、あやしいものである。
展示されている古書は装丁も独特な大型本も多く揃えられ、一種の鈍器レベルの重さのものもある。添えられている文章には想いが溢れていて、読んでいて爆笑を誘うほどの熱の入れようが伝わってくる。2階では紹介されていた本に関連する書籍が展示されているので併せて見ておきたい。
常設展示は一般的な郷土博物館の展示になっている。千代田区の歴史を古代の出土品から紹介しており、いわゆる土器に板碑もある。石棒はなかった。江戸城のお膝元ということもあって、徳川家康が入府するまでの北条家の紹介や江戸城を気づいた太田道灌の紹介もされている。2階と3階は基本的に図書館機能になっているが、特に3階は貴重な特別研究室になっており、こちらでも館内の蔵書から特別な希少本を紹介している企画展示を行なっているので併せて訪れておきたいところ。トイレはウォシュレット式。
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