見出し画像

東洋文庫ミュージアム(東京都北区・駒込駅 シルクロードの旅)

もうかれこれ4回目の訪問となる東洋文庫ミュージアム。行き方も入館後の手続きや順路も勝手知ったるものである。今回の企画展は「シルクロードの旅」と題して、東洋文化を主題とする東洋文庫ミュージアムならではの、東西文化の交流の歴史についてを紹介する展示となっている。

映えスポット 誰もいない

シルクロードという名称は20世紀に入ってから名付けられたもので、その実態は紀元前まで遡るという。交易路として使われた道で、文化、技術、宗教といったものから、病気までこの道を通じて東西へ伝播した。漠然と一本の道なのかと思っていたけれど、海路を含めいくつかの道が存在する。中でも砂漠を通る道は目印が少なく、距離は短いものの目印は乾涸びた死体とも言われるほど常に死の危険と隣り合わせの道だったらしい。点在するオアシスが命を繋ぐポイントだが、このオアシスが急に干上がって位置を変えたりすることもあったという。

今回の企画展ではシルクロードの東端を日本として、アジアから伝来された主に仏教にまつわる書籍の展示も行なっている。大般若波羅蜜多経や梵語千字文などがここでは紹介されている。中国ではサンスクリット語がこの梵語千字文で学ばれたらしい。読んでも全くわからない。

そもそも読めない

またシルクロードに関連する宗教としてマニ教が挙げられる。ゾロアスターやキリスト、釈迦を預言者としてする宗教で、明らかにシルクロードの交易文化によるものと考えられる。ちなみに宋代に反乱を引き起こしたことで水滸伝にも登場する方臘もマニ教だったと考えられている。

かみのマニマニ

モリソン書庫の裏側にあたる智の回廊を通って次の展示室へ。ここでは中国の国家を悩まし続けた北方民族を中心とした紹介をしている。中央政府から見た異民族として避けられた北方の遊牧民はその武力で腐敗する中国を侵略した。中国の四大美人として数えられる王昭君の逸話もある。中国側(連れ去られる途中で自死した)と異民族側(幸せに暮らした)で境遇が全く違うというのが興味深い。

第2展示室は若干の人だかり

タクラマカン砂漠の南にあったといわれる幻の国家コータンは書籍で存在は知られていたが実物がつかめず、18世紀になってようやく遺跡が見つかったことで研究が発展することになったという。また、中央アジア一帯に住んでいたソグド人の存在によって交易が発展したのだということが紹介されている。胡瓜や胡麻といった「胡」が付くものはこのソグド人が関係しているものだという。

平日にも関わらずそれなりの人数がいたけれどもタイミングを見ながら見学することで、ミュージアムの目玉であるモリソン書庫智の回廊は独占で味わう時間をかなり持つことができたのは至福。前回おとずれた時には撤去されていたモリソン書庫前のソファも再び設置されていて、しばし本棚の前でくつろぐ。知恵の小径も同様。トイレは安定のウォシュレット式。

映えスポット 誰もいない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?