国際基督教大学湯浅八郎記念館(東京都三鷹市・新小金井駅)
早慶上理ICUとして括られる東京にある私立大学の大学群。ようやく最後の砦となるICUこと国際基督教大学の博物館へと訪れることができた。都心から離れている上、開館は平日のみ、曜日を限定して予約制での公開ということで訪問にハードルが高いのも今まで訪問できなかった理由の一つ。博物館をはじめ本館や図書館、礼拝堂など名建築の建つ場所としても知られている。
本学の初代学長である湯浅八郎を記念して建設されたこの湯浅八郎記念館は、2階建てになっている展示室がいくつかのテーマに分かれた展示を行っている場所。設計は東京都美術館などを手がけている前川國男なだけあって、確かに東京都美術館を彷彿とさせるような構造をしている。
1階ロビーが休憩室と映像室を兼ねていて、他に壁にあるパネルでは湯浅八郎についての説明もある。湯浅八郎は、柳宗悦によって紹介された民藝運動に触発された一人で、自身も生前に多くの民藝品を収集していたという。7000点を超える収蔵品の一部を隣の展示室で紹介している。それに関連してか、1階の一角では現役の教職員による宝物を紹介しているコーナーもある。また一畳敷というキャンパス内にひっそり佇む建物(国の登録有形文化財)もここで紹介されている。
階段を上った2階が企画展示室。今回は民藝に関連して、日本のうるし工芸についてを特集した企画展を開催している。印籠型の弁当箱や、提重と呼ばれる重箱と取り分け皿や飲み物がセットになって持ち運べるものなどバラエティに富んだ造りの弁当箱いずれにも美しい技巧が施されている。また弁当箱の他にもお椀のセットなどに彩られた綺麗な蒔絵など、見れば見るほどため息の出てくる美しい出来栄えである。螺鈿の美しい菓子箱や桃の形をした酒入などユニークな工芸品もたくさんある。
2階には他に常設展として考古学の展示も行っている。国際基督教大学のキャンパスは実は多くの遺跡が見つかっている場所で、それらはICU遺跡とよばれている。かつてこの場所にあったゴルフ場の開設工事や道路の建設に伴って多くの土器が出土されており、特に先土器時代の研究に役立っているという。考古学の部屋は階段を下りた1階にも引き続きあり、地層剥がしや敷石住居の紹介もされている。おなじみ石棒もあるのは安心である。トイレは洋式。