JKミュージアム/木材・合板博物館(東京都江東区・新木場駅)
新木場とは名前の通り新しい木場である。木場とは江戸時代から使われていた貯木場のことで、水に浮く木材を丸太の形で海に浮かべて保管している。現在の木場駅の周辺にあった木場が埋め立てによって内陸になったことで東京湾と接する場所として新たな移転先として作られたのが新木場のあたりで、周辺には木材を扱う会社が多く立ち並ぶエリアとなっている。その地域を象徴するかのように木材と合板についてを紹介しているのが木材・合板博物館である。
新木場エリアの中で一際わ目立つ新木場タワー。木材や合板を取り扱う会社として最大手となるJKホールディングスの本社ビルである。2階までの吹き抜けとなっている入口のロビーには植物が溢れ滝まで流れている。また単独太平洋横断を果たした堀江謙一氏の小型ヨット「マーメード号」が合板だったことからこの原寸大レプリカが紹介されている。
木材・合板博物館はこのビルの3階と4階にあたるが、ロビーからの階段ですぐに上れる2階にはJKホールディングスの歴史を紹介するJKミュージアムがあり、こちらも一緒に見学。JKとは女子高生のことではなくジャパン建材の略称。創業者の吉田猛によって、ベニヤ板のカット販売などから始まった丸吉商店を前身とし、その頃の小さな建屋もミニチュア展示されている。丸吉商店はその後に事業拡大として新建材の販売を開始、それが発展した結果JKホールディングスとなり今に至っている。
木材・合板博物館はJKホールディングスの主要な業態である合板の製造についてを詳しく紹介したミュージアムである。3階の入口をくぐるとそこからすでに木材の匂いが広がってくる。これよこれ。この木の匂いこそ至高であり多幸感が得られる。やわらかい木材の匂いに包まれての見学である。
合板とは木の皮を何重にも貼り合わせて接着させた板のこと。交互に90度ずつ角度を変えて貼り合わせることで通常の木材よりもはるかに強度が増すのだという。木の皮を作るためには丸太にした木材をかつら剥きのようにして切り出す必要がある。浅野吉次郎によって考案されたベニヤレースという機械によって丸太を薄く切り出し、その板を重ね合わせて行くわけである。重ね合わせるためには接着剤も必要不可欠。膠をメインにしていた当初から研究開発が重ねられ、メラミン・ユリア樹脂系接着剤や水性高分子イソシアネート系接着剤など、強力な接着剤が使われるようになっている。
家屋にとって欠かすことのできない木材と合板。かつては飛行機にも使われていたという無限の可能性を秘めた資材である。4階はワークショップルームとなっており、希望者には木材の加工や合板の手作り実験などをすることもできる体験型の場所でもある。トイレはウォシュレット式。
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