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ぬりえ美術館(東京都荒川区・東尾久三丁目駅)

子供の頃を中心して誰もが通ったぬりえ。モノクロームの絵へそれぞれ自分のイメージ通りの色を塗りたくった経験が誰にだってあるだろう。荒川区の町屋にあるぬりえ美術館は、そんなぬりえを専門にした日本でも珍しいタイプの美術館である。開館20周年を迎える今年、残念ながら10月をもって閉館してしまうという。

ぬりえ美術館は画家の蔦谷喜一の作品を主に取り扱っている美術館。もともと日本画家として活動していた喜一は時代の流れの中で画業を保つことが難しくなった矢先、ぬりえに使う下絵を依頼されたことから、完全に仕事と割り切ってぬりえ作家として活動、可愛らしく少女の憧れや夢を描いたものであることから喜一の絵は「きいちのぬりえ」として大流行し、ぬりえ作家を中心として活動して行くことになる。喜一の描く女の子は女優のシャーリー・テンプルをモデルとしており、ぬりえの主なユーザーだった少女層からは親近感もありつつ憧れもある、といったような印象もあった模様。

引き出しの中にたくさんのぬりえがある

時代はやがて多種多様のエンタテインメントが増え、最盛期には1日40作もの作品を作っていた喜一もその波の中で昭和40年代にはぬりえの仕事が激減、それを境に生粋の江戸っ子として住んでいた都内を離れて埼玉県春日部市へ移転した。ぬりえの仕事は控えていたものの、その後に昭和50年代に入ってファンだった男性が展覧会を開催したところ好評、本人も驚くほどのブームとなり、それを機に再びぬりえを再開、今度は絹の布地に色をつける画家活動も行なっている。

記念写真も撮れるよ

1フロアでコンパクトな美術館ながら、引き出しの中に作品が収蔵展示されているなどかなり展示に努力しているのが窺える。せっかくこれだけのコレクションがあるのに勿体無い。開館している時期はあと少し。いつまでもあると思うなミュージアム。色々なぬりえ作家を集めたぬりえ専門のミュージアムがせめてあればと願う。トイレは個室洋式。

見学者がぬりえを実際に楽しむこともできる


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