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パナソニック汐留美術館(東京都港区・汐留駅/フランク・ロイド・ライト展)

日本国内ではル・コルビジュと共に最も知られている外国の建築家かもしれないフランク・ロイド・ライト。もちろん建築家、ましてや海外のとなると知らない人の方が圧倒的かもしれないけれど、パナソニック汐留美術館で開催のフランク・ロイド・ライト展は非常に注目度が高かったようで、途中から予約制になった上にかなりの人数が見学する企画展となっている。

展示室の構成も独特で、基本は壁に表示された番号に沿って各章の展示がされているのだけれど、各章の配置が近いため見学の順序は少し混乱する。一部の通路では詰まりがちになる箇所もあるものの、限られたスペースで多くの展示を行おうとする努力が感じられるし、おそらく想定以上に見学者が多いことの表れかもしれない。正直なところ、自分もまさかライトがこんなに老若男女から注目されている建築家だと知らなかったので(これまで外出を自粛されてきた反動もあるだろうけれど)とにかく見学者が多くて、ライトさん侮ってごめんなさい、という感じだったりする。

ライトの情報がいっぱいです

建築家として70年間にわたる活動をしたライトは設計だけなら1000件以上、実際に手がけたものも582件に上るという。ジョセフ・ライマン・シルスビーの建築事務所を経てアドラー=サリヴァン建築事務所で働きキャリアを積み、やがて独立。丘や草原を活かしたプレイリースタイルという様式で知られ、彼がメインとして活動していたシカゴを中心として隆盛したシカゴ派の一人として注目された。代表的なものとしてタリアセンなど、自然を活かしたものが知られている。そのほかにも滝や岩棚を活かした落水荘なども世界遺産に認定されている。落水荘の建築現場で指揮をとっていた映像も残されている。

展示室内は撮影NGなのでOKの箇所だけとりあえず

日本におけるライトの建築はそれほど多くなく来日した短い期間に集中している。現在も残されており一般見学できる建物としてヨドコウ迎賓館については模型が展示されており、丘の中腹に建てられた地形を活かした建築がよくわかる。もう一つは帰国までの期間に弟子である遠藤新と共同制作した自由学園明日館で左右対称の外観が平等院鳳凰堂のような造りになっている。自由学園のほかにも海外で教育者から依頼を受けての学校建築も多く手がけている。

ユーソニアン住宅も代表作の一つ

なんといってもライトの建築で知られているのは帝国ホテルだろうか。残念ながら解体され現在は愛知県の明治村に正面玄関が移築されて保存されているのみだが、当時の資料を元にして3Dプリンタで全部を再生した模型が公開されている。帝国ホテルでは予算の半分以上が客室ではなく来賓の施設に使われたというのが面白い。模型の他にも帝国ホテルで使用された家具(ライトの友人でこちらも有名な建築家であるアントニン・レーモンドの夫人・ノエミがデザインした)が多く紹介されている。

こちらは帝国ホテルで実施されてた展示 今回のに近い

プライベートでは四度のパートナーが変わったり、醜聞や事件へ巻き込まれることで波乱万丈だった人生のライトだったが仕事の結果を以て次第に信頼が回復し、オフィスビルや美術館など国内外で活動するようになった。晩年には巨大な塔のような建築を考えていたという。日本では遠藤新や土浦亀城をはじめとして多くの建築家がライトの元で学び、現在の日本の建築において欠かせない存在となった。トイレはウォシュレット式。

こっちは遠藤新と共作した自由学園明日館 でけえ


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