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パナソニック汐留美術館(東京都港区・新橋駅/ジョルジュ・ルオー展)

館内整備による休館から開けたパナソニック汐留美術館では、ジョルジュ・ルオーに焦点を当てた企画展を開催している。もともとルオーの常設展示室があるほど収蔵品を保管している当美術館が独自の収蔵品だけでなく国内外の美術館から集結した作品が展示されるとあって、その注目度は抜群。リニューアル後の最初の企画展ということもあり見学者もかなり多い。

野獣派、フォービズムの代表的な作家の一人であるルオーはフランスのパリで家具職人の家に生まれた。父の勧めでステンドグラス職人のエミール・イルシュに弟子入りする傍らで装飾美術学校の夜学に通い、そこから本格的な画家を志して国立美術学校に入学する。ここではアンリ・マティスと知り合い、生涯に渡り尊敬したという師のギュスターヴ・モローと出会っている。個性を引き出すモローの教育の元でルオーは独特の作風を身につけて行くことになる。

こちらは撮影可能エリア

今でこそルオーの作品というと、野獣のごとくゴテゴテで大胆に塗られた筆致で知られている(輪郭線の太い黒線はステンドグラス職人の弟子であった経験に基づくのかもしれない)けれど、美術学校で学んでいた頃の絵はとても繊細でテーマも宗教画が目立っている。セザンヌの影響もあり、30代あたりから現在よく知られる骨太の画風が多くなりはじめ、サーカスや裁判官といった悲哀に満ちたテーマを持った作品が出てくるようになる。

優しくも肉感が良い

画家としての地位を着々と築き上げてく中でルオーは二つの戦争を経験している。いずれも多くの人が死ぬことになった世界大戦はルオーの作品にも暗い影を落とし、首吊りした男や病気で寝たきりの人物の姿を描いたりしている。生涯を通してルオーの絵画の特徴は「かたち、色、ハーモニー」の三位一体であることが語られており、最後の展示室では装飾的コンポジションを描くようになったルオーによる作品の到達点を垣間見ることができる。

救いがあるような気になる

全ての展示室が撮影可能ではなく、企画展によっては撮影禁止のことがこれまで多かったが、ここ最近になって一部の展示コーナーでの撮影ができるようになってきている。特に今回はルオーの収蔵品が多い美術館だからというのもあるかも知れない。トイレはウォシュレット式。

超精密の映像も見もの

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