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DIC川村美術館(千葉県佐倉市・佐倉駅)

千葉県は広大である。DIC川村美術館は千葉県佐倉市にあるとはいいながら最寄りの駅はない。驚くほど山の中にある。とにかく山。佐倉駅から歩いて行けるような距離ではなく、自動車などの交通手段を使わなければたどり着くのは難しい。ちなみに自転車だと上り下りを繰り返す山道を40分くらい漕ぎ続ければ行ける模様。とはいえそういう手段を使う人はおらず送迎バスが出ており、東京駅からの高速バスと佐倉駅・京成佐倉駅からの無料送迎バスが出ている。どちらを取るかは利便性とお財布との相談だろうか。

DIC株式会社がかつて大日本インキ化学工業だったころから収集してきた美術品を公開する施設として建てられた美術館で、同社の総合研究所がある敷地の中に建っている。敷地はとても広大で中央には大きな池があり、周囲を散策できる無料のコースもある。ここに訪れる人は美術館だけでなくその庭園を回ることでまさに一日中ここで楽しむこともできる。テニスコートまである。千葉近隣に住んでいる人であれば一つの自然散策レジャーを楽しむ場所というイメージもあるかもしれない。

敷地が広大で散歩に適している

設立者である創業家の二代目社長である川村勝巳の名を冠している美術館では近現代の画家を中心にした作品をコレクションしており、時間によってはガイドツアーも設けている。特に抽象的な表現の多い現代美術なんかはキュレーターの説明を聞いて理解の一助とするのも良いかもしれない。館内は撮影できないながら、吹き抜けと螺旋階段の絶妙に調和したロビーが既に素敵な空間を生み出している。

屋外にはこんな感じの現代アートもある

1階が常設コレクション展になっており、創業者の肖像画が飾られた廊下を進むとまずは印象派の絵画から、レンブラントシャガールルノワールといった印象派を代表する西洋画家の作品が並んでいる。モネもね。そして野獣派のマティスにシュールレアリスムのピカソマグリットといった画家に続いてリキテンシュタインポロックイヴ・クラインなど現代アートへとつながって行く。それぞれの部屋が色彩をテーマにした作品で揃えられており、時代毎ではなくその色彩に添った作品群で並べられているのが特徴的だろうか。

中庭

中庭をぐるりと囲むようにして1階の最後はマーク・ロスコの作品のみを並べた部屋から階段を上って2階で白と透明をテーマにした現代アート作家の作品をいくつか鑑賞したあとは企画展示室へ。今回は「カラーフィールド」と題した展示で、やはりこちらも色をテーマにした現代アート作家の作品を中心に展開されている。常設展の作品に比べてさらに抽象的な度合いが強く、絵だけ見てもタイトルとつながりがつかない作品がほとんど。途中から絵を見て作品名を当てるという、東京都美術館でのイサム・ノグチ展と同じような遊び方をしはじめてしまう。絵の受けとめ方なんて自由だからね。トイレはウォシュレット式。

本館の近くにあるギャラリー兼おやすみ処

屋外にも彫刻作品が点在しており、そちらは庭園を散策しながら眺めるスタイル。複雑な形状をした彫刻作品もあり、これって風雨に晒されても大丈夫なのだろうか、なんて心配する。屋外のトイレは洋式。広場や敷地内のテラスでは手持ちの食事を楽しむこともできるので(レストランもある)、1日中ここで楽しむこともできるというかなり広大な美術館である。

歩きたくなる径

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