天理ギャラリー(東京都千代田区・竹橋駅)
竹橋と神田の間くらいにある天理ギャラリー。奈良県にある天理図書館や天理参考館の所蔵している稀覯書や古美術品を中心に東京に向けて公開している施設で、年に数回の展示入れ替えがある。入口は東京天理教館の入っているビルで、隣には教会が入っているため間違えないように注意。ギャラリーはビル入口からエレベータを上った9階にある。
1962年の竣工から年に数回の企画展を継続しながら運営されてきた天理ギャラリーの企画展は、現在までにその数170回を超える。今回の企画展では民族文化にスポットを当てて、北米先住民の伝統文化を紹介する展示を行っている。これまでの企画展でも民族の伝統文化について紹介していることが多く、民族学に強いミュージアムなのかもしれない。
北米先住民というと一般的に連想されるのがネイティブ・アメリカンの人々。北アメリカ大陸にもともと住んでいた人々が西欧の開拓民によって場所を追われたことは今もまだ深刻な社会問題としてアメリカの暗部として根付いているのも周知の事実。開拓民による迫害や免疫のない疫病の蔓延によって西や北へ住む場所を移しながら現在ではアメリカの総人口の1%以下にまでその人口を減らしている。そのネイティブ・アメリカンにも多くの種族があり、民族学的に少なく見積もってもその区分は10区分。さらにその区分に属する種族が多く存在している。南はメキシコ周辺から北は北極圏まで、北アメリカ大陸の各地に分布し、山脈や河川によって分断されて独自の文化を育んできた。
ギャラリー入口で出迎えるのは羽根付きの頭飾り。いわゆる先住民族を象徴する衣装として広く認識されている。だいたいネイティブ・アメリカンをイメージするときの格好ではないだろうか。展示ではまず他社の眼差しから見た北米先住民という視点から、トーテムポールや羽根飾りといったインパクトのあるアイテムを並べて見学者の目を引く。意外だったのが土器も多く作られていたということ。あまり土器とネイティブ・アメリカンの結びつきがイメージできなかったのも、もしかしたらメディアから切り取られたネイティブ・アメリカン像に無意識のうちに影響されているのかもしれない。
土器の他に目を引いたのは編みかご状の容器。その運搬方法も独特で、紐を繋げて額に引っ掛けて背中で背負う格好での運搬によって両手が空くようにしていたのだという。他にも印象的だったのは編みかごであるにも関わらず水も漏らさない造りになっていることで、水と食材に焼き石を投入することで煮炊きした方法などが紹介されている。民族によってそのデザインや作られた民具はかなりユニークで、さすがのアメリカ大陸の広さを痛感せずにいられない。
トイレはウォシュレット式。喫煙室もあるという珍しい施設である。千代田区のミュージアムもほぼ攻略してきたと思っていた矢先、上野を歩いていた時に発見したポスターで未発見のミュージアムがあることを知る。まだまだ未発見のミュージアムはたくさんあるのかもしれない。
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