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KDDIミュージアム/アートギャラリー(東京都多摩市・多摩センター駅)

両国にあるNTTのミュージアムに行ったなら、こちらも行かなくては不公平だろう、という出どころ不明な義憤に駆られてやってきたのがKDDIミュージアムである。こちらはミュージアムとアートギャラリーが併設されている。

携帯電話やスマートフォンの展示がメインなのかと思いきや、日本における通信の歴史を解説している。基本的に展示は自分のペースで見るというよりもスタッフの方が説明しながら見て回るというスタンスになっているため、解説パネルも見逃してしまうこともしばしば。正直なところ通信機器のパネルを読んでも門外漢では理解することは難しいので一長一短かもしれない。ミュージアムを全て回るのに90分ほどかかるものの、そのほとんどが説明を受けながらなので意外と時間が足りなくなったりする。

歴史に沿って解説される

日本の通信は長崎電信局で開始された海底ケーブルの歴史に始まる。サンフランシスコ〜ニューヨーク〜大西洋〜ユーラシア横断〜長崎といった工程を1日で通信できるものだった。逆に長崎から東京までの通信は飛脚によるものだったため8日かかったほど。いかに電気信号による通信が速かったかを物語るエピソードになっている。

長崎電信局の展示模型

通信手段はモールス符号から音声や画像の通信へ発展する。その際により安定した強い電波を発信するため真空管や正確な周波数を作る水晶発振器が開発された。戦時下においては物資が不足し、受信アンテナが丸太で作られている。郵便ポストなどもたしか陶器になったりしていたので、金属を軍需産業に全振りするという本末転倒な歴史があったことがここからも窺える。
海底ケーブルは腐食しないように海底でも平坦な場所を選んで敷設されている。海底に合わせるため日本海溝など深い海溝はかなりの苦労があるという。東日本大震災で切断されたケーブルを直すのには5ヶ月もの時間がかかっている。

用途に合わせて太さが変わります

KDDIの設立の歴史なども紹介されている。正直このあたりは複雑で短い時間では理解できなかった。渋沢栄一の孫である渋沢敬三が初代社長になっているほか、京セラの稲盛和夫が設立に寄与しているなど、当初は後ろ盾がない中での新規参入とはいいながらも、やはりこういった人たちの尽力があってのことなのだろう。

黎明期の携帯電話はショルダー型 実際に持てる

見どころは最後に見られる歴代の携帯電話・スマートフォンのコレクション展示。ここで興味深かったのは、実際に一般で使用されたわけではないものの販売促進の意味を持って、さまざまなアーティストとコラボレーションしているコンセプトデザインが多くあること。草間彌生、名和晃平、東信といったアーティストがデザインしたものは実用性は関係なくコレクションしておきたい品だったりする。

実用性? そんなもの犬に食わせてしまえ(犬)

ミュージアムのあとはアートギャラリーである。複製品や模造品ではなく、本物の美術品だったのが意外だった。通信会社の技術を活かした展示方法もされている。絵画を保護するガラスも、正面から反射が映り込まないようにしたモスマイト技術を使った展示をしていたり、ガレのガラス器をVRで拡大展示(内側も見られる)といった試みをしており、美術品の鑑賞だけでなくエンタテインメント要素も加味された展示になっているのが興味深い。トイレはウォシュレット式。

アートギャラリーも充実しているので一緒にどうぞ

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