立正大学ロータスギャラリー(東京都品川区・大崎広小路駅)
大崎広小路駅からすぐそばにある高層階のキャンパス150周年記念館に入っているのが立正大学の史料館である。入口から進んで地下に降りたところにロータスギャラリーと名付けられた場所になる。
立正大学の歴史は古い。「立正」とは鎌倉時代の日蓮聖人が執筆した『立正安国論』に由来している。もともとは日蓮宗の教育・研究機関として現在の千葉県に飯高檀林が創設されたのが戦国時代。まだ織田信長が生きている時代にあたる。現在の場所とは異なるけれどこちらが立正大学の発祥の地とされている。その後に時代を下って明治に入り、明治政府の宗教政策に対応すべく飯高檀林を廃檀して東京に日蓮宗小教院を設立、これが大学開校の起点といえる。その後、宗教院、大教院、大檀林、大学林の経緯をたどり日蓮宗大学へ名称を変更した。こちらの講堂は辰野金吾によるもので、現在は焼失してしまっている。
大学としての正式な認可を受けたのは1924年にあたり、私立大学の認可としてはかなり早い段階にあたる。戦災を経て戦後の復興を目指す中で学長に就任したのは、後に内閣総理大臣となる石橋湛山。特に仏教系の駒澤大学、大正大学とのつながりを重視した学長会議の開催など、学校への改革を多く行なったとされている。
さらに階段を下りた地下2階では、企画展としてその日蓮宗に関連する展示「法華経と文学」という図書館主催の展示が開催されている。ちょうど日蓮の入滅の時期に重なっていたようで期間限定の展示にたまたま巡り合わせた幸運。経典である妙法蓮華経の展示や、法華経を信仰していた宮沢賢治の『春と修羅』、そのほかにも立正大学の収蔵している『古今和歌集』『新古今和歌集』、幸若舞の物語を転用した『大織冠』などが展示されている。
隣接する図書館では連動して企画展を開催しており、こちらでは日蓮の事績を追う形で佐渡へ流刑された時の題目や龍ノ口で処刑される寸前に光の玉が現れて処刑を防いだという龍ノ口法難の絵が展示されているほか、日蓮宗を信奉していた戦国武将の加藤清正を描いた浮世絵なども展示されている。どちらも見学者は見事にゼロ。もったいない。トイレはウォシュレット式。