東京証券取引所(東京都中央区・日本橋駅)
みんな大好き証券取引。東京は兜町にある東京証券取引所の中を見学できるとあっては証券取引好きとしては訪れないわけにはいかない(特に証券取引が好きなわけではない)ので早速こちらを訪問することに。
近年になって異様に取り沙汰されている株取引。全国民へ資産運用を推進する動きがあり義務教育でも資産運用についての授業が検討されるなどしている昨今、東京証券取引所でその概要を学んでみるのもまた一興である。
基本的に館内はスタッフの方による案内で進むことになる。入口から農業、工業、商業、交通・通信業という経済を支える四人の銅像がお出迎え。
集合時間になって長いエスカレーターを上ると、建物の建て替え前からあった銅板が飾られている。こちらでは交通・通信を除いた三つの産業をモチーフに工業(金槌)、商業(ケーリュケイオン神)、農業(ぶどう)が飾られている。
東京証券取引所では渋沢栄一、大阪証券取引所では五代友厚が深く関わっており、ドラマでそれぞれ主演を張った俳優が訪れた際のサインなども飾られている中、まずは株取引についての紹介がある。お金に働いてもらう、という考え方である資産運用。もちろんそれが全てプラスに働くものである保証はないため、基本的には自己責任で学んで行うようにとの注意喚起もされている。
次に取引場を窓越しに見学。ちょうど会場では上場した企業のセレモニーが開催されていた。見学時間に居合わせるのはレアケースということでありがたい。上場の際には会場にある鐘を5回うつのが慣習とされている。セレモニー会場では年末の大納会や年始の大発会も行われているという。大発会の際には財務大臣も招待される。
東京証券アローズは今でこそコンピュータ制御による運用に切り替わっているが、かつては人力によって手のサインを使って株の取引がされていた。たとえば三越であれば三本指で頭を越えるサイン、トヨタであればカタカナのトを描いた後にハンドルのジェスチャーを行う。こういったサインでリアルタイムにやりとりしていたとは。
かつて一部・二部・マザーズ・ジャスダックという名前だった階層は、プライム・スタンダード・グロースという名称に変わっている。プライム市場では一日あたり三兆円もの資産が動いているという。ちなみに東京証券取引所は太平洋戦争の後にGHQによって接収され、エクスチェンジホテルになっていた時期もあるという。
トイレはウォシュレット式。とにかくスタッフの方の言葉遣いが丁寧なのと、ちょっとした疑問にはすぐに答えてくれるという教育の行き届いた様子が見て取れる。再び入口に戻ってすぐ隣にある資料室では、かつての建物の模型や、渋沢栄一の生涯などが紹介されている。