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東吉野の染織工房「空蝉 utsusemi」さんで自然に囲まれながら藍染め体験

サトタケが主催させていただいた奈良・蔦屋書店さんのイベント、「きもちいいね、草木花」にご登壇いただいた染織家・宇都宮弘子さんの工房にずっと行きたかったのですが、とうとう願いが叶いました。今回の記事は、その一泊二日の簡単なご報告。

染織体験までの色々

8月18日の朝から染織体験をするということで、17日から家族で前泊。染織工房「空蝉」さんは、染織体験の参加者に向けて離れのお部屋を宿泊可とされているんです。

まず、お部屋が素敵で心地よい時間を過ごさせていただきました。大きな窓からは刻々と色味が変化する周囲の木々を眺望でき、夕方も朝も清々しい気持ちに。8月中旬なのに外気温が22度まで下がっていたので、空調がなくても夜は涼しく。お風呂は、近隣の「やはた温泉」をエンジョイ。

18日の早朝に散歩をすると、榧(かや)の木と出会ったり、カキドオシが見つかったり、薬草的にも楽しい気分に。朝食は茶粥をいただいたのですが、自家製の香の物が美味しく、家族で完食(^^)/

染織体験の前に宇都宮さんのお部屋を見せていただいたのですが、糸をつむぐ機械や機織りの機械がかっこよく並んでいました。宇都宮さんは染織家でいらっしゃるので、染めだけでなく、織りもされるんですよね。

美しい着物の帯を見せていただきながら機織りのお話を聞いたり、珍しい秘蔵品の布類と出会ったストーリーを教えていただいたりしていたら、あっという間に染織体験の時間に。

染織体験

8月ということで、藍染め。たで藍の葉を発酵・熟成させた蒅(すくも)に広葉樹の灰汁を混ぜてさらに発酵させるのが藍建て。しっかり発酵したらブクブクと泡が立ってくるのですが、それが藍の華(はな)。染めれますよ、という合図です。

藍の染液は生き物なので、毎日のケアが欠かせないとか。今回の体験では、事前に宇都宮さんがしっかりと藍建てされた染液を使わせていただきました。

染めたい布の繊維にしっかりと水を含ませながら、染液からは藍の華を別の桶に避難。布を絞ってから、染液に3分ほど漬けます。そして、固く絞ってから空気に触れさせるのですが、布地が緑色から青色へと変化。おもしろかった(^^)/

藍染めって媒染(色の定着)が特殊で、酸素で定着するんです。なので、空気に触れさせたり、酸素がたっぷりの山の水で洗う中で色が落ち着いていくみたい。

水洗い。空蝉さんでは無尽蔵に山の水が使えるようで、水は流しっぱなしでした。洗う中で藍染めの美しい青がはっきりと見えてくるのが目に嬉しい。まだ暑さの残る夏の作業だったので、水に触れているだけでも気持ち良かったなぁ。寒色の藍色なので、ひんやり感もアップ。

手も藍で染まっちゃったのですが、薬効があると言われている染料なのでむしろ良い気分。最近では、藍がコロナに有効だという研究が発表されましたよね。また、リーバイスのジーンズが青いのも、抗菌目的で藍で染めたからとか。薬の内服ならぬ、外服ですね。

最後は昭和な洗濯機でガタンゴトンと脱水し、干して完成。洗濯機が右へ左へと踊っていて可愛かった。

染織体験後

空蝉さんが位置する東吉野村は、サトタケ的には木々と水の聖地。工房から近い七滝八壺を散策したり、よしの庵というお蕎麦屋さんでランチを楽しんだり、その近くの丹生川上神社(中社)を散策したりしましたよ。

とにかく、よしの庵さんの天婦羅がめちゃくちゃ美味しかったのと(香り・食感・味加減の全てが最高・・・)、願いが叶うと言われている丹生川上神社の「叶えの大杉」が小説のネタとしてGoodな点だけ、サトタケは心にメモを残しておきました。


宇都宮さんは、いずれ、蚕も飼いたいという。蚕を育てて繭を手に入れ、それでシルクの糸を紡ぎ、染色し、着物の帯などとして完成させる。

それは現代人からすると、途方もない手間のかかる作業。でも、100年前の人々なら普通に行っていた行為でもある。

そんな、最先端のスローライフを垣間見れ、学びの多い一泊二日でした。また違う季節にも、空蝉さんまで遊びに行きたいなぁ。


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