要望に応えない優しさ
新潟生まれ新潟育ち、ブランディングプロデューサーの亀山です。
Narashika(ナラシカ)という屋号でフリーランスとして活動しています。
今日のテーマは、「要望に応えない優しさ」。
ブランディングはファンをつくるために様々なコミュニケーションを行う活動です。
例えば、Webサイトをつくって情報を発信したり、SNSでお客さんと直接やり取りしたり、商品パッケージのデザインをリニューアルして今までとは違う印象を与えてみたり、広告で商品の世界観をアピールしたり。
その活動の過程で、Webサイトをつくったり、SNSで投稿したり、デザインしたり、広告をつくったりと、いろいろなものをつくっていく作業が入ります。
ブランディングプロデューサーとして活動する亀山にも、「サイトを作って欲しい」とか「パッケージデザインをリニューアルしたい」といった依頼をいただくことが多々あります。
そして、依頼をいただいたときに、亀山はストレートに要望には応えません。
「Webサイトをつくってください」と言われ、「はい、わかりました。どんなサイトにしましょうか。」はありえません。
「Webサイトをつくってください」と言われたら、「ありがとうございます!ちなみに、なぜサイトをつくりたいと思ったんですか?」っていう"そもそもの欲望"を探ります。
めんどくさいかもしれませんが、本当の意味での欲望を明らかにすることが本当の優しさだと考えています。
要望にストレートに応えない
先日、録りためていた情熱大陸を見てました。
中でも気になったのは、「穴太衆(あのうしゅう)」という戦国時代から続く石工集団の粟田純德(あわたすみのり)さんの回。
「穴太衆」はお城の石垣をつくることに特化した職人で、穴太衆積みという手法で、大きいものは2tにもなる石を積んでいく。
また、強度を増すために、大きい石と石の間に小さい石もバチッとはめていく。
トップクラスの建築家・隈研吾さんも絶賛。
石を積んでいるだけなのに鉄筋コンクリートよりも強度があり、400年以上も残り続ける。
さらに、天然の石を使うことをポリシーにしているため、作り込みすぎない石垣になる。
テレビの画面越しでもその美しさに驚きました。
絶対城巡り使用と決意しました。
で、今日の本題は放送の中で粟田さんが、石垣の修理の依頼を受けているシーン。
崩れてしまった石垣を前に、依頼者やアドバイザーとして入っている考古学者から、「元通りにして欲しい」という注文をもらっていました。
ですが、粟田さんは「同じ石を使っていたのではまた崩れる」とぶった斬ります。
考古学者は「なぜ?」と不満げ。
それでも粟田さんは折れずに自分の考えを貫く。あまり多くは語らないけれど、そこには戦国時代から受け継がれる技術とプライドを感じました。
"元通りに直す"ことが依頼だったけれど、それじゃあ依頼者の本当の欲望を満たすことはできない。
そんなことを感じさせてもらいました。
本当の欲望を探る
ビジネス本などでは度々「顧客は本当のニーズを言語化できていない」なんて表現されていますが、まさにそのとおりだと思っています。
例えば、「Webサイトをつくってください。」という依頼があったとします。
で、依頼を受けたサイト制作会社は、「どんなサイトをつくるか」を考え始めます。
至極当たり前のプロセスのように思えますが、今回はココを疑いたいなと。
なぜか。
それは「Webサイトをつくりたい」というのは、依頼者の本当の欲望ではないからです。
言い換えるなら、Webサイトをつくることは手段であり、目的ではない。
要は、Webサイトを何の目的でつくるかを明らかにしないと本当の欲望には応えられません。
仮にネット通販で自社商品を販売したいということであれば、「商品を売りたい」というのが本来の目的のはず。
そのための手段として、依頼者が思いついたのが「ネット通販」という選択肢だったというだけです。
だから、もしかしたらネット通販じゃなくても商品が売れればいいかもしれません。
むしろ、商品によってはネットじゃないほうがいいかもしれない。
もしくは、ネットで売る前にやるべきことがあるかもしれない。
「かもしれない」を連発しているのは、正直亀山にもわからないから。
依頼者や販売する商品が変われば状況はすべて変わるわけなので、結局のところ本当の欲望を探り、それを満たすための最善の手段を必死に考えるしか無いのだと思います。
応え方は一つじゃないからこそ自分らしさを
依頼者の本当の欲望を探り、それを満たすための手段を必死に考える。
それこそ、ほんとうの意味で要望に応えることだと思っています。
で、ほとんどの場合、応え方はひとつじゃないことが多い。
例えば、「商品を売る」ための手段として、自分たちでネット通販を始めることもあれば、通販をだれかに依頼することもあり得ます。
また、アフィリエイターやインフルエンサーに紹介してもらうことだたってあります。
さらに、ネットで売らずに手売りすることだって選択肢に入ってきます。
そして、どれが正解かどうかは正直誰にもわかりません。
だから必死に考えないといけない。
大変だけど、ここに亀山らしさを持たせられるから面白いんですよね。
誰がやったって同じ解決方法なら、それはその誰か、もしくはAI先輩に任せておけばいい話で、「この人の欲望を満たすためには何が必要だ???」って考えまくって、自分らしく応えるのがやっぱり面白い。
それに、本当に依頼者のためになることを探し続けて、考え抜いて、形にすることが本当の優しさだと思うんです。
「Webサイトつくってください」
「わかりました」
ではなくて、
「Webサイトをつくってください」
「ありがとうございます!ちなみに、Webサイトが欲しいと思ったのはどういう理由ですか?」
って聴いて、依頼者が言葉に出来ていない根っこの欲望を探りに行くことからはじめる。
もしかしたら、「いいからつくれよ」って言われてしまうかもしれません。
それでも亀山は聴きます。
「なぜつくりたいんですか?」
それが依頼者のためでもあり、自分のためでもあり、新潟のためだと信じているので。
それが本当の優しさだと考えているので。
ブランディングプロデューサー
Narashika
亀山友貴
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