専門家としての当事者
障害のある当事者の新たな職域として、当事者が当事者を支援するピアサポートであったり、英国発祥のECLOであったり、いろいろと注目はされているものの、劇的に何かがおきるわけではない。
むしろ、専門家の中には、
「当事者が入ってくると余計にややこしくなるから」
と当事者が相談支援にかかわることに乖離的な見方もある。
それもよくわかる。
障害当事者は当事者であって、専門家ではない。
精神科医で、かつ、障碍者であれば、それは当事者の専門家だ。
しかし、多くはそうではない。
自分が当事者であることであたかもその分野の専門家になったように思い、相談支援の理論的枠組みも知らない人が相談を受けた結果、余計にややこしく、こじれているケースも散見される。
じゃあ、どうしたらいいのか。
当事者を専門家にするのであれば、それなりの養成プログラムが必要になるだろう。
自分の経験だけで物事を判断するのではなく、きちんとエビデンスベースでの会話、情報提供ができる人材を育てる必要がある。
だから、イギリスのECLOは、ECLOであって、ソーシャルワーカーでもカウンセラーでも、リハビリの専門家でもない立場を忘れるなと養成課程でいわれるのだろう。
それぞれの専門職の領域をおかさないように。
さて、我々日本の当事者はどこへむかっていくのか、これからが楽しみである。