奈良時代と「現代」はつながっている
奈良時代がすき
奈良が好き、という方の中には「古代が好き」「古墳が好き」「古事記が好きだからゆかりの場所をめぐりたい」などなど色んなジャンルの愛好者がいます。
私は奈良時代が好きです。
平城京の時代に作られた神社仏閣・遣唐使などの制度、律令という決まり事や平城京という新しい都市…。
どれをとっても興味深いのですが、最初にズキューーンと来たのは、奈良時代とは関係のない「古代の呪術」に関するお話を聞いたときでした。
「古代の呪術」
ぐっとくるタイトルではないですか。
かつてまじないや呪いが駆使されて人々の生活を彩っていた時代。
いまも神社でヒトガタに息をふきかけて厄を払うということをしていますが、ああいうのが特別なことでなかった時代。
人々が身を守り敵を討つためにどんな力を駆使したのか…というような内容でした。
古代の人々の必需品「櫛」 実は九州産!
身を護る、ということで取り上げられたのが「櫛」です。
古事記の世界においても、櫛が登場します。
イザナギ・イザナミの神話で、妻イザナミが黄泉の世界に行く話がありますね。
追い掛けてきた夫イザナギは、待っていてという妻の言葉を聞かずに探しに来てしまいます。
その時真っ暗だったので、櫛の歯を一本抜いて、そこに灯火を付けたのでした。
そして変わり果てた妻の姿を見てしまうのです。
ここからわかるように、古代においては男性も櫛を付けていました。
『万葉集』にも、花の枝を手折って髪にさす、というシーンが詠まれ、『木』に力があること。その霊力でひとを護ることが信じられたのがわかります。
高級な櫛には象牙の櫛などもあったのですが、やはり櫛が木製だったのは、木の霊力を期待してのことでしょう。
このお話を聞いたとき、
「今は櫛というとつげの木がメジャーですが、古代においてはイスノキが主流でした」
と聞きました。
そしてさらに
「イスノキが育つのは九州が適しているといわれ、九州のイスノキがよく使われました。
それが全国にて出土されているのです。
一番出てるのが平城宮ですが…」
と続きました。
『木の呪術性』『櫛の守護力』がメインのお話でしたが、私の心を釘付けにしたのは『九州の木でもって製品を作って、それが平城宮に届き、全国に流通していた形跡がある』ということでした。
今は外国から材料を輸入して製品を作って、全国で売るのが当然の時代ですが、それと似たようなことが古代にあったというのです!
奈良時代と今はつながっている
これ、めちゃくちゃすごくないですか!?
この話から、一気に平城京が気になりました。
平城京ってどんな時代だったのだろう?
なぜそんなことができたのだろう?
私の知っていた奈良時代は、なんというか牧歌的で、歌のやり取りに力を注いで、一部の人が贅沢な暮らしをしてそれを庶民が租庸調で支えていて…
でも租庸調という税金があるということは、「税金をおさめなきゃだめだ」ということが、知れ渡っていたということです。
そしてそれを強制する力があったということです。
しかもそれが全国規模って??
ここから平城京への道が開かれたのです。
まるで朱雀大路がビシイッと都の中心を貫いていたように。
私は奈良時代のとりこになりました(^o^)
いらいずっと奈良時代のことを追いかけるようになりました。
奈良時代は、知れば知るほどおもしろい。
平城京の時代って、意思の疎通が難しいくらいの古代のようなイメージがありますが、実は今の私達ととても近しいと感じることがあります。
今あるもの。世の中の仕組み。日本の原型。それらができた時代こそ奈良時代だと思っています。
奈良時代は今と地続きでつながっているのです。