万葉集!! 今こそ読もう!
知ってますか? 万葉集
奈良のことを好きになってくださる皆様のなかでとても人気のものに『古事記』『日本書紀』などがあります。
やはり私たち自身の歴史であるからか、そこにある言葉は難解なものであったとしても、色々紐解いて「つながった」気持ちになるときは最高です(^^)
そんななか負けずに人気なのが、やはり『万葉集』です。
古代の人々にも家族があり、暮らしがある。
行き方や生活スタイルは違っていても、同じ人間同士分かり合える気持ちがある。
それが「歌」で表現されていて、泣いたり笑ったり、憤ったり困惑したり。
そういう感性の宝庫が歌になったもの『万葉集』です。
トップバッターは雄略天皇
そもそも『万葉集』とは「万」よろずの「葉」言の葉を集めたもの、と書きます。
日本語は元々すべて「呪言」だと言われ、すべての言葉に意味があります。
言葉という短いものに命が込められているだけでなく、万葉集に採用されている歌にもそれぞれテーマがあります。
たとえば万葉集の最初の歌は、雄略天皇による求愛の歌です。
籠(こ)もよ み籠(こ)持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串(ぶくし)持ち
この丘に 菜摘(なつ)ます児(こ) 家聞かな 名告(なの)らさね
そらみつ 大和(やまと)の国は おしなべて われこそ居(お)れ
しきなべて われこそ座(ま)せ
われこそは 告(の)らめ
家をも名をも
素敵な籠やへらをもって菜を摘んでいるあなた。
名前を教えて下さい。おうちを教えて下さい。
教えてくれない?なら私から名乗りましょう。
実は私こそ、この世を支配しているのですよ。
そんな私が名乗りましょう。
雄略天皇は、十一面観音さまのいらっしゃる場所で有名な長谷寺のあるあたりに宮を築いたとされる天皇です。
この歌が雄略天皇が本当に作ったのか…そのあたりはよくわかりません。
でも、万葉集の編者は「雄略天皇」を選んで、トップバッターに据えたかった。
彼の歌う求愛の歌を最初に記したかった。
そこには、万葉集を作った人々の表現したかった世界や願いがあるはずなのです。
現在を生きる私たちこそ読むべき万葉集
当時はもっとたくさんの歌が詠まれていたはずで、万葉集に採用されなかったものもたくさんあることでしょう。
歴史に消えてしまった「選ばれなかった歌」はもう取り戻せませんが、こうやって「残ってくれた歌」には残される理由があるはずなのです。
そこから見えてくる、彼らの伝えたかったこと。
そういったことを少しでも想像できたらと思います。
万葉集には、「万」の言葉が詰まっているという解釈とともに「万代」よろずよ…未来へ向けてずっと、という意味が込められているというのもあります。
万葉集が伝えたかったことを受け取るべきは、まさに彼らから見て未来に生きている私達ではないでしょうか。
巻頭イラストはU-KOさんのものを拝借しました。ありがとうございました。
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