奈良に住むという選択③ 奈良の歴史 平城京
奈良の歴史を紐解くと、奈良にだって旧石器時代から縄文時代、弥生時代と連綿とつながっているのだけど、どうしても飛鳥時代~白鳳時代~奈良時代~あたりがクローズアップされてしまう。
もちろんその後の平安時代から室町・鎌倉時代と現代まで続いていくのだけど、話題の量としては少ない。
奈良にだって戦国時代はあったし、筒井順慶の活躍や、島左近の出身地として平群町がゆるキャラを作ったり。目を引くトピックは多いと思うのだけど、やはり都が置かれた藤原京や、史跡が多くのこる平城京はとても大きな存在感を放っている。
特に平城京は奈良時代の舞台として、とても目立つ存在になっている。平城京時代の都の中枢部が広大な空き地として保存されていることも大きい。
空き地というと、何もないイメージだけれど、この広大な空間があえて残されている意義は大きい。日本の中で、県庁所在地に、経済活動が盛んにされている場所の近くに、ただただ巨大な空間が残されているなんてそんな贅沢な場所がほかにあるだろうか?
平城京を支配した天皇たちが、空間を支配することで、権威を目に見える形で示した事実が、目の前に広がっている。
平安京は平城京より長く続いたけれど、奈良時代の天皇のほうが、より巨大な力をもって君臨したことが、そのスケールがわかるのだ。
平城京の地下からは木簡が出土していて、これが古代の様子を知る手がかりの一助になっている。
簡単に言うと木の板に文字を書き付けたもので、用がすむと小刀で削って新しく書いた。
削り捨てられたものの、すべて大事に保存されていて、木簡の中には国宝に指定されているものもある。
言うなれば、ただの木の板、ただの空間、ただの空き地。
そこにとんでもない価値があり、知ろうとしなければわからない価値なのだ。世の中がどんどん簡単なほうへ、わかりやすい方へ、単純な価値観がもてはやされている世界で、逆に奈良のもつ深みは、これからさらに貴重なものになっていくと思う。
奈良の歴史は古代だけじゃない。
でも、奈良のもつ貴重な遺産のうちのひとつは間違いなく古代だと思う。そして、平城京の時代にできたもの、作られたものが、今の私達の暮らしの基礎を作ってくれている。古代と今がつながっているのだ。
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