奈良正哉(鳥飼総合法律事務所弁護士)

元 みずほ信託銀行(株)総合リスク管理部長、同執行役員運用企画部長、同常勤監査役。みずほ不動産販売(株)専務取締役。 現 日弁連信託センター委員、(株)タムロン社外監査役、理想科学工業(株)社外監査役、(株)熊谷組社外取締役。

奈良正哉(鳥飼総合法律事務所弁護士)

元 みずほ信託銀行(株)総合リスク管理部長、同執行役員運用企画部長、同常勤監査役。みずほ不動産販売(株)専務取締役。 現 日弁連信託センター委員、(株)タムロン社外監査役、理想科学工業(株)社外監査役、(株)熊谷組社外取締役。

最近の記事

新築マンション価格高騰

 10月の新築マンション価格は、首都圏で9,239万円、東京23区に限れば1億2,940万円だそうだ(11月21日日経)。住宅購入の中心となる30歳台・40歳台の勤労者層には、とても手が出ない価格のように思うがどうなのだろう。  実質賃金はわずかしかプラスにはなっていないが、あるところにはある、ということなのだろうか。銀行の住宅ローンの貸出姿勢がことのほか緩いのだろうか。それとも引続き中国人が手あたり次第に買っているのだろうか。住宅価格だけみればバブルのような気もする。

    • オワコンメディア

       大接戦のはずがトランプ大勝。後半追い上げのはずが斎藤大勝。メディアの偏向報道が非難されている。他方、メディアの影響力の低下もあるのではないかと思う。  最近はゴールデンアワーでさえ、AC JAPANの公共広告が目立つ。テレビを見る人が減って、広告主集めにも苦労しているのだろう。雑誌、新聞に続いてテレビもオワコンか。紅白などは「とっくにオワコン」だろう。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

      • 指名委員会は本物に

         法定の他に任意の設置も含めて、指名委員会は機能しているようだ。社長後継者の選定議論を行っている割合は80%に及ぶ(10月23日日経)。後継者の選定は伝統的に現任社長の専権であった。「私の履歴書」などを見ればわかる。日本的経営からもっとも遠いところにあるのが指名委員会かと思っていたが違った。コーポレートガバナンスコードの期待するように、次第に委員会に権限が委譲されつつあるようだ。  調査の対象には、同族企業や支配株主が存在している企業もあるだろう。それらも含めての80%だろ

        • KADOKAWAフリーランスいじめの正当化

           フリーランスをいじめても担当者の個人的な利益はない。むしろいやな気持で対応してきたのだろう。「悪いことかもしれない」と思いつつ、会社のため、編集に携わる雑誌の存続のため、報酬たたきなどをしていたのだろう。不祥事を起こす一つの要素「正当化」が強く働いた事件でもあるだろう。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

          KADOKAWAフリーランスいじめ

           KADOKAWAが、原稿料の買いたたきによるフリーランスいじめで行政処分を受ける。フリーランス保護法は11月1日に施行されたばかりだ。適用第1号かと思ったら、施行前の行為が問題になり従来の下請法が適用されたようだ。  いずれにせよ同社の感度の低さは驚くばかりだ。フリーランス保護法の施行は真新しいが、法律はすでに成立している。そのための議論はその前からある。ライターやカメラマンといったフリーランスを多く使う同社のような企業こそ、細心の注意を払うべき法律だ。 鳥飼総合法律事

          内部通報者への不利益処分に罰則

           企業内の不祥事、特に経営者や経営幹部の不正行為を早期に発見するには、内部通報しかないと思っている。しかし、内部通報者はその後の報復を恐れて通報を躊躇するケースも多い。  それに対応するため、報復人事等の不利益処分に対して罰則が設けられることになった(11月5日日経)。不勉強ながら、これまで罰則が「なかったこと」を知らなかった。これでは通報者は通報を躊躇し、被通報者は躊躇なく不利益処分ができてしまう。制度の実効が上がらなかったのも無理はない。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 

          内部通報者への不利益処分に罰則

          賃金上昇のために

           実質賃金は8月9月と連続してマイナスになった。そんな中、経済同友会の新浪代表幹事は最低賃金1,500円を払えない企業は退出すべきと言っている(10月19日日経)。同意見である。  賃金を上げるには生産性を上げなければならない。そのためには企業を集約により大規模化して、IT投資に振り向けることができるキャッシュフローを生めるようにしなければならない。個々の中小企業を守るのは小善だが、産業の生産性を上げるのは大善である。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

          歓迎トランプ大統領

           大統領選はトランプ氏が勝った。大方の接戦予想に反して大勝した。平均的日本人はトランプ氏のような人が嫌いだ。だから、対岸の身でありながら選挙結果に対して嫌な感じがしている人が多いだろう。  しかし日米の株式市場は大幅高でトランプ氏を歓迎した。景気刺激的な政策を好感した一方、粗雑な政策は実行しない(できない)と踏んでいるのだろう。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

          転勤可否半年ごと選択

           三井住友信託銀行は、社員の転勤可否を半年ごとに尋ねることにする(10月30日日経)。辞令一本で、否応なく日本はおろか世界中に飛んでいかなければならないサラリーマン像は、過去のものになりつつあるようだ。  同行は、採用場面でも他行に比べると熱心で、インターン等の取組も早くからスタートしている印象だ。三井住友FGと袂を分かって独自路線を進む覚悟が出ているような気がする。  政策保有株式の全廃もすでに数年前に打ち出しており売却を進めている。人生100年応援部なるものもある。

          社外取締役の兼職

           社外取締役の3社以上の兼職が24%に、女性に限れば34%になるそうだ(10月30日日経)。かくいう筆者も3社兼職している。単純にいえば社数が増えればその分1社あたりに割ける時間も減るということにはなる。しかし、時間的負担は会社によってまったく異なる。出席を要請される会議の数、事前説明や準備の負担、訪問を要請される内外の拠点の数などにもよる。  また、どれだけ自主的にコミットするのかによっても異なる。筆者などは、おせっかいにも、役職員への勉強会を企画しているからその分も負担

          ステルス買収防衛策

           信託銀行が「有事導入型」と言われる買収防衛策の導入を支援している(10月29日日経)。従来の買収防衛策は役員の個人防衛だとされて、アクティビストだけでなく一般の機関投資家からも反対される。そのため次善の策として有事に備えるいわばステルス防衛策として導入を図る。もちろん違法ではない。  ただ、これらの弥縫策よりも大事なことは、会社の業績をあげることだ。これによりアクティビスト以外の個人株主や、年金基金に長期保有してもらうことだ。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

          ふるさと納税は続くよどこまでも

           ふるさと納税で資金流出が顕著な23区からの怨嗟の声は、間欠泉のように新聞に載る。不合理な制度だから即刻止めろという直球から、寄付に上限を設けろという比較的穏やかな提案まである。しかし、今回の石破総理誕生の裏の立役者ともされる菅副総裁が総務大臣のころ、役人の総反対を押し切って導入した肝入り政策だ。簡単には止められないだろう。  23区に不合理な財政負担を強いて区民の東京外への移住を促し、東京一極集中を緩和しようという遠大な計画かもしれない。まさかね。 鳥飼総合法律事務所 

          ふるさと納税は続くよどこまでも

          オリンパス社長辞任

           オリンパスのカウフマン社長が、違法薬物所持の疑いで辞任させられた(10月29日日経)。みっともない理由での辞任(事実上の解職)は他企業でもある。違法薬物所持とは外人らしい理由だ。業務と関係のない個人的理由で辞任することをよく納得したと思う。  オリンパスは過去に今回と全く関係のない会計不正問題を起こしている。大きなニュースになった。両者はまったく関係がないが、当社には不祥事が起こる体質というものがあるのかもしれない。たしかに実際に繰り返し不祥事を起こす会社はある。 鳥飼

          刑法240条(強盗致死傷)

           「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。」刑法240条(強盗致死傷)  最近頻繁に報道される、若年者が黒幕に指示されてやる「闇バイト」。アルバイトというにはとてつもなく重い刑である。指示されるまま家に押し入って暴力を振るい、金銭を取って人を殺せば一発で人生は終わる。殺さなくてもほぼ人生は終わる。 鳥飼総合法律事務所

          「選挙は買い」が潰れる

           石破総裁誕生のときは日経平均2,000円安で「歓迎」された。その後総選挙に入って与党過半数割れの予測も出ている。そのせいか「選挙は買い(選挙期間中株価は上昇)」の50年間の経験則は潰れるだろう。市場からは前途多難な政権と見られている。「前途」があればだが。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

          ボーイング大幅賃上げ

           ボーイングは組合のストに負けて、4年で35%(単純年8%超!)もの賃上げを提示した。他方、同社は航空機に不具合が見つかったり、納期が遅れたりして、業績としては9,400億円もの赤字を出した(10月24日日経)。それでも組合員は、防衛・航空という排他的な市場で支配的な地位を占めている同社が、潰れることはないと思っているのだろう。  親方日の丸なのに(だから?)ストをやった旧国鉄の「遵法スト」を思い出す。 鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉