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『バースデイ・ストーリーズ』は、村上さんが選んだ十二の短編と村上さん書き下ろしの一作が収録されたアンソロジーだが、村上さんのペンによる作家たちの紹介が、やっぱり“村上さん”で、「訳者あとがき」などどう読んでも逸品のエッセイで、丸ごと、一冊、村上春樹による十三の誕生日物語なのだ。
まったくその存在を知らなかったクレア・キーガンを、図書館のサイトで検索すると『青い野を歩く』と『バースデイ・ストーリーズ』の二冊が現れた。 彼女のことをどうやって知ったのか、どうも思い出せない。たぶん書評系サイトかなんかだったと思うが忘れてしまった。彼女がアイルランドの作家で、アメリカで小説を勉強し、若くして欧米の文学界で高く評価され、今は、都会では暮らせないと、アイルランドの海辺の田舎町で犬と馬と暮らしているらしい、というエピソードに惹かれて検索した次第。 まず、『バー