扇の要

3年生には日本代表に選ばれたキャッチャーの先輩がいながら2年生でコルト大会でキャッチャーをしていた。
コルト大会の在り方はチーム、選手それぞれの考え方があるので、選手起用はそれまでと違うことも少なくない。
ある試合、ファーストを守る正捕手であった先輩に守備でミスというほどでもないけれど、油断というか、やや緩慢なプレーがあった。するとすかさずファーストへ気を引き締めるように強く声を掛ける。
キャッチャーは唯一逆を向いて守備につく特殊な立場であるが、それ故に求められるものは多い。ピッチャーとの関係は勿論、相手チームの打線への対策、そして自チームの守備の統制。

試合に出るからには学年や年齢は関係なく、毅然と試合に臨むのみ。
そうして得た経験は彼自身が日本代表に選ばれても発揮された。

代表選考会でもチームメンバーは初めて一緒にプレーするという状況でも細かく指示を出し、それをビシッとハマらせてのピンチを切り抜けるダブルプレー。

代表での試合もフィールドでもベンチでも指示出し、盛り上げとチームを動かしていた。
代表チームには所属しているチームでキャッチャーの選手も複数いる中で任されることはプレッシャーもあったかも知れないけれど、いつも試合をやり抜く彼にあってはそのプレッシャーがあったとしても経験値と変えていったはず。

試合中の勝ち気な雰囲気や集中した顔は時に近寄りがたくも感じるかも知れないけど、仲間たちと喜んだり楽しんだり、知れば知るほど魅力を感じるのは弁えることの出来る聡明さもあるのだろう。

これからも頼もしい仲間たちと共にその魅力をどんどん拡げていくことは間違いない。

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