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製本・印刷・仕上げ、そして完成 【後編】ZINE制作の試行錯誤

前回の記事では、ZINEのテーマ決めから写真選定までのプロセスを紹介しました。
今回は、その続きとして、製本の選定印刷データの作成試し刷り仕上げまでの流れを書いていければと思います。

写真が決まったら、次は 「ZINEの形をどうするか」 を考える段階です。
どのような製本方法にするのか、印刷はどうするのか、試し刷りで調整することはあるのか。
これらのプロセスを経て、最終的な「本」としての完成形に仕上げていきます。

製本方法を決める

写真が決まったら、どのように本の形にするのか を考えます。
製本方法には大きく分けて 印刷業者に依頼する方法と手製本で作る方法 があります。

① 印刷サービスを利用する
ZINEを制作するにあたって、もっとも手軽なのは印刷業者に依頼することです。
データを作成すれば、短期間で大量に制作することが可能です。

おすすめの印刷サービス
・しまうまプリント → コストを抑えつつ、比較的高品質な仕上がり
・FUJIFILM PHOTOBOOK → カラーの発色が良く、写真にこだわるならこちら
・グラフィックやプリントパック → 大量印刷向き

例えば、しまうまプリントは A5サイズのフォトブックを1冊約1,000円程度から作ることができるため、価格を抑えながらも一定の品質を保ちたい場合に向いています。
一方で、紙質や装丁にこだわりたい場合は手製本の方が適しています。

② 手製本で制作する

手製本の魅力は、自由度の高さにあります。
紙の種類、サイズ、製本方法を自分で選び、1冊1冊を丁寧に作ることができます。

手製本で制作する場合、次のような方法があります。

手製本の種類
・中綴じ(ホチキスで綴じる)→ 簡単で手軽、少部数に向いている
・糸綴じ(コデックス装など)→ 一枚ずつ綴じるため、開きやすい
・蛇腹製本 → 1枚の紙を折りたたむことで、ページの連続性を強調できる

もし製本方法が決まらない場合は、実際にアートブック写真集を見て、どの形が自分のZINEに合っているかを参考にする のが良いでしょう。
蔦屋書店青山ブックセンターなどに足を運び、気になる本を実際に手に取ってみるのもおすすめです。

また、コピー用紙や画材紙を使って簡単な試作を行うことで、完成時のイメージがしやすくなります。
例えば、簡易印刷した写真を貼り付けたり、ホチキスで仮止めしてページの流れを確認することで、より具体的な完成形が見えてきます。

印刷データの作成

製本方法が決まったら、実際に印刷用のデータを作成します。
データ作成に使用するソフトは、InDesign、Illustrator、Officeソフトなど何でもOKです。

使用するソフトの選び方
・InDesign → ページ管理がしやすい(ZINE制作には最適)
・Illustrator → デザインの自由度が高い(1ページずつ作るのに向いている)
・PowerPoint / Word → 簡単なZINEならこれでもOK

特に InDesignはページ数の管理がしやすく、後で修正が入った際も対応しやすいため、個人的には一番使いやすいと感じています。
ただし、本格的なDTP作業をするわけではないので、最終的に印刷に適したデータを作れればどんなソフトでも問題ありません

また、この段階で 「初版は何部制作するか」 を決めます。
手製本の場合は、作るのに時間がかかるため、少部数からスタートするのが無難 です。

試し刷りと色味調整

データが完成したら、いきなり本刷りをするのではなく、試し刷り(テストプリント) を行います。

試し刷りをする理由
・モニターと印刷の色味の違いを確認する
・写真のディテールがどれくらい再現されているかをチェックする
・紙による発色の変化を確認する

試し刷りの際には本番と同じ紙を使用し、一枚ずつすべての写真の色味をチェックします。
特に、印刷サービスを利用する場合は、データのRGBCMYKの変換による色の変化に注意が必要です。

また、試し刷りの結果によっては、写真の現像を再調整することもあります。
例えば、「黒が潰れてしまう」「コントラストが強すぎる」といった場合、紙に合わせた色味調整を行うことで、印刷後の仕上がりを理想に近づけることができます。

本刷りと製本作業

試し刷りで問題がなければ、いよいよ本刷り(最終印刷) を行い、ZINEを完成させます。

本刷りのポイント
・一度に大量印刷せず、小ロットで様子を見る
・インクの定着を確認する(特に手製本の場合、乾燥時間が必要)
・紙が反っていないか、折りやすいかをチェックする

インクが定着したら、製本作業に入ります。
製本方法によって作業時間は異なりますが、大体1冊目はサンプルになることが多い です。

ZINEの完成と振り返り

こうして試作調整を何度も繰り返し、一冊のZINEが完成します。
制作には時間がかかりますが、その分だけ仕上がりへの満足度が高くなるのも確かです。

また、完成後には 次回の制作に向けた振り返り を行うのもおすすめです。

振り返るポイント
・制作のどの段階がスムーズだったか?
・どこに時間がかかったか?
・次回の制作では改善できる点はあるか?

こうした試行錯誤を重ねることで、自分のZINE制作のスタイルが確立されていきます。

まとめ

今回は、製本・印刷・仕上げまでのプロセス を紹介しました。
1,製本方法を決める(印刷業者or手製本)
2.印刷データを作成する(InDesignやIllustratorなど)
3.試し刷りをして色味を調整する
4.本刷り・製本を行い、ZINEを完成させる


ZINEや写真集は単なる「写真の寄せ集め」ではなく、試行錯誤の過程があってこそ生まれるもの です。
時間をかけて作ることで、より完成度の高い作品になっていくはずです。

ぜひ、自分なりのプロセスを見つけて、ZINE制作を楽しんでください。


それでは、また。

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