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創刊サンデージャーナル

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紙の出版物が低迷する中、無謀にも新たな日曜紙が誕生した。その名も【サンデージャーナル】。日常に潜むとんでもない話を読者から募集、独自に編纂した夕刊紙である。創刊に向けて、全4話を…
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#小説

創刊サンデージャーナル 2

 その弐 時の過ぎゆくままに  さて一連の騒動が去った山間の村で、足場工事が始まっていた…

上野修嗣
1年前
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創刊サンデージャーナル 3

 ところ変わって倉庫街、駅前は労働者が集う砂の街。各自番号で呼ばれ、定時に列を乱さず現場…

上野修嗣
1年前
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創刊サンデージャーナル 4

 その参 この胸のときめきを  さて、村でただ一つの中学校にJCと共に訪れた男がいた。A…

上野修嗣
1年前
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創刊サンデージャーナル 5

 ところ変わって老朽化激しいビルの一角。エレベーターも年季が入っている。このまま地獄行き…

上野修嗣
1年前

創刊サンデージャーナル 6

「当日は、面接形式で課題を朗読していただきます」  電話の向こうの担当者が言う。女性の声…

上野修嗣
1年前
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創刊サンデージャーナル 7

 ところ変わって編集部。  桜並木を見下ろす窓際に、春野とゴンザレスの二人がいる。傍から…

上野修嗣
1年前
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創刊サンデージャーナル 8

 ゴンザレスは雨の日になると、必ず道にできた水溜りを覗く癖があった。自分の顔を見ては不適な微笑みを浮かべる瞬間、世界の憂鬱が止まる、気がしている。  仕事は言うまでもなく原稿を読むことだった。日々送られてくる原稿を精読し、時に退屈で目を閉じる。荒れ果てたデスクではなく、驚くほど綺麗に整頓されたデスクの上で目を通す。素晴らしい作品と褒めるのは決して社交辞令ではない。才能の片鱗とは、飛んできた桜の花と同様、鼻息で去るにはあまりに惜しいのである。親指で押さえて、このまま印刷に持って

創刊サンデージャーナル 9

「恥ずかしいけど、みんな通るんだ」  Nの言うとおり、まだ〈開帳前の極細ドリル〉がいよい…

上野修嗣
1年前
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創刊サンデージャーナル 10

 その四 暗い日曜日  夕刊を配るA君によると、玄関前で旧友との再会は決して珍しくないそ…

上野修嗣
3年前
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